5歳のときに両親とともにブラジルから群馬県太田市に移住したルシアノ・フェルナンド。小学4年生で野球と出合い、日本で伸びやかに育まれてきた才能はプロの舞台でどんな輝きを放つのか。注目のドラフト指名選手を取り上げる連載の第4回は、異色の経歴を持つ日系ブラジル人スラッガーにスポットを当てる。 文・写真=近藤泰秀 10月23日のプロ野球ドラフト会議。日本で育った一人のブラジル人選手が“夢”への第一歩を刻んだ。
「東北
楽天4位、ルシアノ・フェルナンド22歳、白鴎大学」
大学の理事長室で
藤倉多祐監督らチーム関係者も見守る中、テレビの向こうから彼の名前が読み上げられた。
「その瞬間は父も立ち会ってくれて、“野球を続けてきて良かったな”と声をかけてくれました」
5歳のときに、両親や兄とともに群馬県太田市に移り住んできたフェルナンドは幼いころからの夢がかなった喜びと、指名してくれた楽天球団への感謝の気持ちを伝えた。
父の祝福の言葉をしみじみとかみ締めたフェルナンド。幼いころ、慣れない日本の習慣に戸惑ったこともあった。幼少時は母国の球技サッカーに夢中で取り組んでいたが、所属するクラブが活動を停止したために、好きなまま、やめざるを得なかった。フェルナンド少年は途方にくれていた。
小学校の校庭でぼんやりと、野球部の練習をながめていた。「あんな棒っ切れ1本で、あんなにボールを遠くまで飛ばせるなんて」。気がつけば野球に取り付かれていた。チームのコーチに声をかけられると・・・
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