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Vol.17 七原優介[名古屋大・投手]
主将・エース・四番を担う豪腕

 

「野球は大学まで」と決めていたはずだった。
だが、そのたぐいまれな才能で強豪校ではなかった名大を1部昇格目前まで押し上げ、いつしか「国立の星」と呼ばれるようになった。
自身とチームに最高の結果を残すために大学ラストイヤーも全力で右腕を振るう。

取材・文=吉見淳司 写真=斎藤豊



六大学を蹴り地元・名大を選択

 2011年春、入部してきたばかりの七原優介の投球練習を見た真野恭一監督の第一印象は、「誰がキャッチャーをやれるのか」だったという。

 甲子園出場はなかったものの、愛知県内有数の進学校である知立東高では最速142キロをマーク。学業の成績も良く、センター試験利用入試では明大にも合格していたが、一般入試で名大の教育学部に入学した。「六大学野球に興味がなかったわけではありませんが、将来は母校の知立東で野球部の監督になりたかったんです。教職が一番の前提だったので、地元の大学でしっかり学びたいというのがありました」。あくまでも優先するのは学業。「野球は大学まで」と決め、名大野球部に入部した。

 愛知リーグ発足の主導を担った名大は、リーグ戦の幕開けとなった1949年秋から51年秋まで5連覇を果たしたが、今日に至るまで1部優勝はその5回のみ。最後の1部所属は66年秋で、七原の入部当初は4部リーグ所属だった。

 自身も名大OBで、卒業後はトヨタ自動車でプレー、就任6年目を迎える真野監督は、「私が現役のときは2部の上位でしたが、当時よりも力はあると感じましたね。ただ、他校も力を入れていますから」と語る。

 厳しい受験競争を勝ち抜いたことで燃え尽き、野球を辞めてしまう入学生も多い名大では、ズバ抜けた才能を持つ七原はある意味、“場違い”な存在だったのかも知れない。

高いレベルを経験し「野球は大学まで」に変化

 七原は1年秋からリーグ戦5試合に投げ、優勝に貢献(1勝1敗、防御率1.56)。入れ替え戦でも南山大を相手に1勝0敗で迎えた2戦目に先発し、8回無失点で勝利投手に。3季ぶりの3部昇格を果たした。

 主戦となった2年春、チームは3勝9敗の最下位と苦戦したが、8月に転機が訪れる。その前月に都市対抗2回戦に進出したトヨタ自動車とのオープン戦で好投。「それまでは『上を狙える環境じゃない』と思っていましたが、意外と通用するな、と。『こういう環境でプレーできたら面白いな』と感じたのが一番ですね」

 より高いレベルでプレーしたい。その思いが強くなった秋は7試合で4勝1敗、防御率0.21と驚異的な数字を残した。最優秀選手賞に輝く活躍でリーグVの原動力となると、愛知東邦大との入れ替え戦にも勝利し、9年ぶりに2部昇格。

 自身も・・・

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