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大平達樹(桜美林大・捕手) 先輩からの教えを投手育成へ

 

捕手が投手を育てるパターンもあるが、エースがキャッチャーを一人前にすることもある。昨年のドラフト外れ1位で5球団が競合した千葉ロッテ佐々木千隼のボールを受けてきた。多くの経験を積む中でいまや堂々の「ドラフト候補」となった。
取材・文=上原伸一

二塁送球は高校時代に1.81秒を計測した強肩捕手であり、阻止率10割を目指している。昨秋はリーグ戦初優勝、神宮大会準優勝。今春はさらに飛躍する


ユニバ一次登録入りで初めて意識した「プロ」


 自分も行きたい――。大平達樹に初めて「プロ」の2文字がよぎったのは、昨年10月20日のドラフトの時。カメラの放列が敷かれた華やかな記者会見場、目の前で1学年先輩の佐々木千隼が、ロッテから1位指名される。史上初の「外れ1位」による5球団重複の末だった。だが、大平はすぐさまその思いを打ち消す。やっぱり無理かな……3日後に首都リーグ初優勝のウイニングボールをミットに収めても、初のベストナインになっても、そして神宮大会で2試合連続本塁打を放っても、気持ちは変わらなかった。

 心境に変化が訪れたのは、今年8月に開催されるユニバーシアード代表候補選考合宿の後。今年1月、一次登録32人に入った大平は「そこで初めて、プロを意識しました」。スマホをのぞくと、佐々木から祝福のメールが届いていた。

 振り返れば、昨春の首都リーグ開幕前、大平はまだ控え捕手だった。それがリーグ戦途中から定位置を奪うと、一気に上昇曲線を描く。特に成長を見せたのが「得意なほうではない」と明かす打撃だ。昨秋は打率でリーグ6位タイの.333、リーグトップタイの2ホーマーと長打力も示した。その要因を大平はこう話す。

「1つは練習の成果かもしれません。春は援護できなかった千隼さん(佐々木)を秋こそは助けようと、夏の練習ではチームとして打撃に力を入れまして。かなりバットを振り込んだところ、オープン戦から大きい当たりが増えてきたんです。あとは津野(裕幸)監督のアドバイスです。僕は打つときにヒザが伸び上がるクセがあるのですが、オープン戦のときもたびたびゼスチャーを交えながら『ヒザを沈めて腰を回して打っていけ』と指導してくれました」

 ただ神宮大会での2本を含む昨秋の4本塁打については「センター返しの延長」を強調する。

「ウチは『チームのためにこの1打席を使え』がモットー。たまたま結果がホームランであって、どんな場面でも常につなぐ意識を持っています」

 とはいえ“センター返し”がフェンスオーバーになったのは、ウエート・トレーニングでパワーがついたこともあるだろう。大平は筋力がアップしたのと比例して、入学時から体重が8キロ増えたという。

アピールポイントは送球の正確性


 “打てる捕手”であるのも1つの売りだが、大平は「どこを見てほしいかと言えば、やはり送球です」と言葉に力を込める。持ち前の強肩に加えて、コントロールにも自信を持つ。捕ってから投げるまでの動作も機敏だ。二塁送球の最高タイムは桜美林高時代に記録した1.81秒。これは練習時のものだが「フットワークをもっと良くして・・・

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