プロ入りから7シーズン、Bクラスの経験しかなかった。ところが昨シーズン途中、新天地・巨人へ移ると、MVPにも匹敵する働きでリーグ連覇へのけん引車に。一昨年春に左ヒザ靭帯を断裂し、12年は公式戦登板ゼロなど地獄を見た男が、見事なカムバックを見せた。「とにかく無我夢中」と初々しく左腕を振り続ける青木高広の、野球人生第2幕である。 自由に体を動かせず、歩くこともできない。病室で、時間がただただ無情に過ぎていった。「最初は現実を受け止められなかったです。心? 折れていました」と当時の心境を振り返る言葉に、ケガの深刻さがにじみ出てくる。
2012年3月26日。青木(当時
広島)は、左ヒザ関節前十字靱帯と半月板損傷の手術を受けた。
11年は自身最多の76試合に登板し、大きく飛躍をしたシーズンとなっていた。意気揚々と迎えた翌年のキャンプ中に、アクシデントに見舞われる。投内連係の最中に左ヒザを負傷。今までに痛めたことがない個所で、防ぎようがない突発的なケガだった。手術後も1カ月の入院を余儀なくされ、退院しても2カ月間は患部を器具で固定。日常生活を支障なくこなせるようになるまで、3カ月を要した。
「野球人生を左右する大ケガ」と言うように、同じような故障で現役引退に追い込まれた選手もいる。走れない、投げられない期間が長ければ長いほど、もどかしさは募っていった。「本当に自分は野球をやっている選手なのか。(自分は)何をやっている人なんだろう、とずっと思っていました」。
その折れていた心をもう一度奮い立たせてくれたのは、周囲の支えだった・・・
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