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野球浪漫2014

中島卓也[日本ハム・内野手]

 

 昨季はライバルの負傷離脱により多くの出場機会を得た。今季は2番手の二塁手として開幕を迎えながら、シーズン途中に自らの実力でレギュラーを奪取。夏場には二番に固定され、自分に与えられた役割を全うした。厳しい争いをいかに勝ち抜いたのか。
文=高橋和詩(スポーツライター)
写真=高原由佳、早浪章弘




自己最高の打率と盗塁


 一生懸命に、忠実に日々と向き合い、地道に、丁寧に1年間を駆け抜けた。中島卓也は、少しホッとした笑みを浮かべて回想した。

「出来過ぎですよね、僕的には。大卒の2年目の選手と一緒の年齢なので。ここまで……、試合には出ないとはいけないと思っていたんですけれど。こんなに出られるとは思っていなかったです」

 無用に大きな野心も邪念もなく、プロ入りしてから6年目となる23歳の秋。毎年、背伸びすることなく等身大の目標を掲げ、1つずつクリアしてきた。振り返ってみれば今季は1つの頂きへ、たどり着いた。出場試合数は昨季に1試合及ばなかったが、126試合に出場。初めて規定打席に到達した。

 レギュラーの称号が与えられる、1つの基準をようやく乗り越えた。1ケタの背番号「9」へと変更され、周囲の期待を背負って臨んだシーズン。激戦の内野の定位置争いを勝ち抜き、打率.259、28盗塁とキャリアハイの成績を残した。5月以降からはチーム事情で三塁手、遊撃手もこなしながら、最終的には二塁手に定着。自主トレをともにしたこともあり、師の1人と仰ぐ田中賢介がメジャーへ挑戦して2年目。確固たる後継者が不在の中で、一気にその座を奪い去った。

「昨年よりはスタメンで出る試合が多かった。成績もいいですしね。まだクライマックスシリーズが控えていますが、規定打席にも達したし、いいシーズンだったと思います」

 及第点を付けてもいい1年だったが、紆余曲折の中で、たくましく切り開いてきた。2月の春季キャンプ時点では西川遥輝が二塁手の筆頭候補。栗山英樹監督ら首脳陣の青写真では、中島は事実上「2番手」の位置付けだった。二塁と遊撃で併用されながらオープン戦に突入。目指していた開幕スタメンからも外れた。

「いつか試合に出るときは来ると思っていた。結果は欲しいですけど・・・

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