5月14日の中日戦でサヨナラ満塁本塁打を放つ。「背番号10」が松山の地でヒーローとなった
常に表舞台を歩んできたわけではない。それでいて、チームになくてはならない存在。荒木貴裕はその役割を演じるため、毎日の準備を決して欠かさない。だからこそ、少ないながらも輝ける瞬間が訪れるのだ。 文=小林陽彦(共同通信社)、写真=前島進 ベンチワークを円滑に回す潤滑油
プロ8年間の打撃成績に目を見張る数字があるわけではない。それでも荒木貴裕の名前が
ヤクルトのメンバー表にないことは、たまの故障を除いてほぼない。今季もフルイニング出場した
山田哲人らとともに、全143試合で一軍に居続けた数少ない一人だ。ひと言で表せば、荒木は“玄人好み”するプレーヤーである。
もちろんスポットライトを浴びる活躍も多い。自主トレ地でもある愛媛県松山市の坊ちゃんスタジアムで行われた5月14日の中日戦。8回から一塁守備で途中出場し、9回裏二死満塁でエース
大野雄大からサヨナラ満塁本塁打を放った。6月16日、神宮球場での
巨人戦では代打で決勝3ランをたたき込んだ。それでも荒木の選手としての価値は、もっと見えにくいところにある。
参謀役の
三木肇ヘッド兼内野守備走塁コーチも「チームの編成とかバランスを考えたときに貴重な選手」と評す。例えば内外野を守れる選手は珍しくないが、荒木は実際に・・・
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