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野球浪漫2022

DeNA・関根大気 結果こそが恩返しに── 「シンプルに野球で活躍してやるぞって。そうすれば家族やお世話になった方々も喜んでくれますから」

 

自ら勝負を決することだけが正解ではない。チームへの貢献にこそ価値がある。その心意気への評価はスタメン出場の機会として表れている。根底にあるのは常に支えてくれた人への「感謝」の心。“横浜反撃”のピースとして使命を果たす。
文=石塚隆 写真=BBM


相手を揺さぶる切り札


 相手の意表を突くプレーに、ときに見せる長打力。今季、優勝争いに絡んできた横浜DeNAベイスターズの“くせもの”として存在感を発揮している関根大気。スタメンとしてはもちろん、関根が代打で打席に立つと、何かが起こる予感がする。

 プロ9年目となる今季、そのほとんどを一軍で過ごしてきた関根は、厳しさを漂わせた表情で言う。

「上位争いの中、試合に出させていただけてやりがいはありますし、本当にありがたいことだと思っています」

 そう語ると、ふと表情を緩めた。

「幸せなことだし、今は野球をすることが楽しめていますね」



 1995年生まれ、愛知県出身。野球を始めたのは小学校1年生のとき、兄の影響もあり春日井市の石尾台スポーツ少年団(現・高蔵寺ユナイテッドBC)に入団した。

「本当はサッカーをやりたかったんですけど、家庭の事情でひとつしか習い事が選べなくて野球をやることにしたんです。けどプレーをすることが楽しくて、すぐ自分の夢は“プロ野球選手”になりましたね」

 中学生になると守山クラブに所属し、投手兼外野手として活躍。そして愛知県屈指の名門である東邦高に進学をする。関根は当時をこう語る。

「実は野球で高校に行けるとは思っていなかったんですよ」

 所属していた守山クラブと東邦高にパイプがあり、関根はセレクションを受ける機会をもらった。

「テストをしたその日に特待生でというお話をいただき、ぜひお願いしますと返事をしました。当時は投手としてはセンスがないと感じていたので外野手一本でやらせてもらうと」

 希望を胸に高校での生活をスタートしたが、強豪校である東邦高は県内外から有望選手が集まる激しい競争の世界。レギュラーになっていく同級生を尻目に、無名だった関根はなかなか頭角を現すことができなかった。

 そんな状況を見かね、関根の背中を押してくれたのが家族の存在だった。母の美華さんと兄と妹の4人家族。関根は「何不自由なく育ててもらいました」と感謝を述べている。

 当時関根は・・・

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