立大からドラフト6位で入団して7年目を迎えた。自己最多登板は20年の31試合。苦難の時のほうが多かったが、地道に努力を積み重ねてきた。下を向くことなく前へ。背番号40の情熱が衰えることはない。 文=上岡真里江 写真=高塩隆、BBM 実績ある投手からの学び
『人事を尽くして天命を待つ』
いま、田村伊知郎はその境地で日々を過ごしている。
2023年1月末日。全国各所で各々自主トレを行っていた西武の選手たちが所沢に戻り、2月第2週目から開始される春季キャンプへ向け、少しずつ姿を見せ始めた球団の室内トレーニングセンターに、田村の姿もあった。ブルペンで一人、自撮り棒のようなものに自分の携帯電話をセットし、自らの投球を動画撮影していた。
「人に撮ってもらうばかりではなくて、自分でできることは少しでもやろうかなと思って」 そう言って笑いながら新年の挨拶を交わした7年目右腕の表情は、いつになく充実感にあふれていた。
「いま、痛いところがまったくないんです」 それが、表情が明るい一番の要因だった。
昨年、田村は失意の中にいた。
「体や肩が痛くて、まずは自分との闘いが続いてしまい、100%バッターに向かっていくことができなかった。ファームでも思いどおりのピッチングができず、年間通して悔しかった」 22年シーズンが終了した秋、早々にフィジカル面をテーマにしたフォーム改善に着手した。柔軟性を高めることで体への負荷を軽減したその取り組みが、年明けから順調にパフォーマンスに表れ、手応えを感じつつあったのだ。
もう一つ、自主トレ中にどうしても学びたかったのが・・・
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