1年前、岡田彰布監督が就任。正捕手に指名された。うれしい思いとともに責任感も今まで以上に出てきた。一方で、シーズンは打撃で成績が上がらず苦悩が続いた。8月に入り打撃も上向きになったときに……。それでも「アレ」のために自分ができることにまい進した。18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一を達成。周囲の成長を見届けながら、成長する自分も見つけることができた。 文=丸尾匠[デイリースポーツ] 写真=BBM 正捕手としての責任
11月5日、阪神タイガースが球団史上2度目の日本一に輝いた夜、無念の骨折離脱からリハビリの日々を送ってきた梅野隆太郎も、歓喜の輪に加わった。リーグ制覇した日と同様、7月に天に召された同期・
横田慎太郎さんのユニフォームを握り締めて──。
時計の針を昨秋に戻す。岡田彰布新監督が就任した。プロ10年目の今シーズンに向けて、主力は免除の秋季キャンプに異例の形で参加していた梅野を、早々に正捕手に指名。直接伝えられたわけではない。報道陣の取材に対して、明言している記事に触れた。
「どういう形であれ、監督というトップの方に発信してもらえるのは、信頼してくれているからだと思うので。毎年毎年、自分個人としてもチームとしても勝負をかけるけど、岡田さんがそういうふうに言ってくれて。もちろんモチベーションは上がりましたね。その逆に、めちゃめちゃ責任も感じたし」 矢野燿大前監督は捕手複数併用が目立った。2020年の
巨人との開幕3連戦では、初戦こそ梅野がスタメンマスクをかぶったが、第2戦は
原口文仁、第3戦は
坂本誠志郎が先発。矢野野球を象徴するような起用法だった。それでも矢野政権下での4年間、各シーズンの捕手最多出場は梅野。
「数多く何年間も一番出させてもらっていたので、そこに対しての自分なりの経験値というのは無駄にしたくなかったから、岡田さんに言われたことに対して、そのときにスイッチが入りました」。新指揮官からの期待に、気持ちを高ぶらせた。
岡田監督が就任当初から指標に掲げてきた「守り勝つ野球」。梅野も扇の要として、
「野球は点取りゲームだからこそ、先の塁に進塁させない守備力は大事。やればやるほど、勝利に近づく可能性が高くなる。そういう野球を聞いたとき、自分としてももちろんやりたいし、それは大事にしていきたいなと思えました」と受け止めた。
◎
春季キャンプの守備練習では、外野からカットマンへの送球を徹底させた。
「低い球を強く・・・
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