週刊ベースボールONLINE


巨人投手陣の救世主になれるか?新外国人マイコラス

 

マイコラスをどこで使うか原監督の選手起用が注目される



肩の故障が気になる巨人の新外国人


 2015年、読売ジャイアンツが新外国人として、テキサス・レンジャーズのマイルズ・マイコラス投手(27歳)の獲得をしました。今回は、このマイコラス投手についてお伝えしたいと思います。

 マイコラス投手は196センチの長身右腕で、2014年はテキサス・レンジャーズで10試合に先発して防御率6.44/2勝5敗/奪三振38/WHIP1.43をおさめました。MLBでは通用しませんでしたが、3Aでは16試合(先発6試合)で44.2回を投げて、防御率3.22/5勝1敗/奪三振38/WHIP1.25とまずまずの成績を残しています。

マイナーではクローザーを経験


 マイコラス投手は2009年のドラフトで7巡目全体204番目にサンディエゴ・パドレスに指名されてプロ入りしています。その後、2013年11月にパイレーツにトレードとなり、2013年12月にテキサス・レンジャーズに再びトレードで移籍しています。2A通算では40試合44.2回で防御率2.01/2勝1敗13セーブ/奪三振38/WHIP1.21で、3Aでは87試合(先発6)125.1回で防御率3.23/11勝4敗28セーブ/奪三振95/WHIP1.30とまずまずの数字を残しています。の一方でメジャー通算では37試合(先発10)91.1回で防御率5.32/4勝6敗/奪三振62/WHIP1.42と通用しませんでした。

 マイナーでは十分に通用していたものの、メジャーにはもう一歩で、この2つのカテゴリーを行き来するレベルの選手で会ったことがわかります。クローザーをマイナーで務めていたのですが、奪三振は投球回数を下回るなど、もの凄く多いわけではなく、奪三振率は2Aで7.66、3Aでは6.82となっています。

 しかし彼の良い所は与四球が多くないことです。メジャーではマイナーとのレベルが違い通用しなかったため9イニング平均で3.35個の与四球と多いのですが、マイナーでは2Aで1.81個、3Aでは2.01個となっていますので、コントロールが極度に悪いタイプではないと考えられます。

 そして、基本的には三振で抑えるというよりも、打たせてとるタイプの投手で、先発とリリーフの両方で起用することができる投手でありますが、今年の巨人ではクローザーになるのではないかと思います。

スライダーで空振りが取れるかがカギ


 マイルズ・マイコラス投手の持ち球は、フォーシーム、シンカー(ツーシーム)、チェンジアップ、スライダー、カーブの5種類となっています。

 2014年のデータでは、フォーシームの最速が157.1キロ(97.7マイル)、平均150.0キロ(93.7マイル)でメジャーでは平均的な球速で、シンカーは最速が157.8キロ(98マイル)、平均が150キロ(93.4マイル)で、こちらはやや平均よりも上の球速となっています。

 フォーシームは投球の36.37%、シンカーが25.73%となっていて、投球の6割強がこの2つの球種となっています。その2つの球種を軸にして、140キロ(86.8マイル)のスライダーが16.4%、121キロ(75.4マイル)のカーブが11.73%、144キロ(90マイル)のチェンジアップが9.34%という構成です。

 三振を奪う際に有効なのはフォーシームとスライダーで、それぞれ三振の42%と47%を占めています。また打者のスイングの結果として空振りになる確率が一番高いのが17.88%のスライダーとなっていますので、空振りを奪う変化球はスライダーだと考えられます。また、被打率が低いのはカーブとスライダーで、カーブが.231、スライダーが.250となっていて、変化球ではチェンジアップよりも、ブレーキングボールのほうが効果を発揮しているようです。

 長身でボールに角度がつくため、日本では強力な武器となるのではないでしょうか。スライダーは、大きく曲がるというよりも、カットボールに近い動きで、小さく曲がっている印象がありました。球質も重そうで、球速もあるため期待ができるのですが、ただひとつ気になるのは、彼の肩の故障です。

 2014年8月25日にマリナーズ相手に8.0回を被安打3の無失点に抑えた後に、肩の違和感で離脱して、そのまま2014年は登板しませんでした。その影響がどのくらいのあるのかは気になるところです。読売ジャイアンツもその辺りを調査して獲得に動いていると思いますが。私が日本の監督をしていれば、彼をリリーフとして起用したいと思います。

著者PROFILE
1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。
現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウトによる連載コラム。スカウトならでは視点で日米の選手をジャッジするほかMLBについても語る。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング