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メジャーリーグのマネー事情

 

メジャー契約により、NPBとはケタ違いの待遇・報酬が手に入る(Getty Images)



ヤンキース・田中投手の口座に毎月実際に振り込まれる額は?


 今では多くの日本人選手がメジャーリーグに行きプレーをしています。その多くの日本人選手は、大型契約を結んでいます。田中将大投手が、2013年オフ、ヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約182億9000万円)という超大型契約を結び、注目をされました。

 日本の皆さんはメジャーリーガーの給料日っていつなのか? 1回にどれくらの額が振り込まれるのか? 疑問に感じた事はないでしょうか。

 今回は桁外れのメジャーリーグの「給与事情」についてお伝えしたいと思います。 

 まずメジャーリーガーの給料日は、月に2回支払いがあります。田中投手が所属するヤンキースもそうですが、多くのチームの給料日は基本的に、キャンプが始まる2月からシーズンが終わる10月までの9カ月間、10日と25日の月に2回。米ドル建てで、各選手の銀行口座に振り込まれます。その額は、「年俸÷18(9カ月間×月2度)」ということになります。

 田中投手がヤンキースと2014年から結んだ契約は、7年総額約182億9000万円(以下すべて1ドル=118円で換算、当時のレート)。あくまで単純計算ですが、1年あたりの平均年俸は26億1285万円。それを18で割ると、1回当たりの支給総額は1億4515万円。実際の手取りは、税金などが引かれこの5〜6割ほどとなりますが、現実離れした金額が毎月振り込まれることになります。なお、メジャーリーガーの平均年棒は約2億6千万〜2億8千万円(2013年〜2014年)となっております。

 メジャーリーガーの「給与明細」は、給料が振り込まれた日に、球団職員から各選手らに配布され薄めの用紙に、振り込み金額が書き込まれています。

 基本支給額、インセンティブ(出来高)に始まり、そこから引かれる所得税(連邦個人所得税、州所得税)、選手会費、罰金ほか、球団を通じて友人らのために手配した観戦チケット代や、個人で購入したグッズ代などにいたるまで漏れなく天引きされています。

「ミールマネー」とは?


 キャンプ中は『ミールマネー』と呼ばれる食事代が支給され、メジャーとマイナーでは倍ぐらい金額が違います。選手の契約によっては、キャンプ中のホテル、レンタカーも球団が用意してくれるのです。日本の友人に聞いた所、日本のキャンプでは全員が揃って食事をすると聞いた事がありました。

 メジャーリーグのキャンプの場合は食事代として「ミールマネー」が支払われます。球団によって違いはありますが、「ミールマネー」は1日につき100ドル前後。給与に合算して振り込まれることもあれば、遠征のたびに現金で手渡し、という場合もあります。我々の球団ではキャンプの最終週に現金で「ミールマネー」を支払っています。

メジャー契約ならではの“サービス”とチップ事情


 メジャーには日本では考えられないような豪華な特典も契約条件に付けられる事が多いです。ある日本人選手がメジャーリーグに移籍をした際には引っ越し費用、年間10万ドル(約1040万円)の家賃代、8万5000ドル(約884万円)の専属通訳への給料、日米間のファーストクラスの航空券4往復分(約800万円、本人分を除く)などの諸経費が支給されていたとの事でした。

 アメリカには日本ではなじみの薄い「チップ」の習慣があります。メジャー各球場のクラブハウスには、スパイクの手入れやユニホームの洗濯などを担当する職員がいて、給料は球団から支払われますが、ベンチ入りの選手からのチップを想定して設定されているため、極めて安価です。

 選手はクラブハウス担当職員のリーダーに現金や小切手でチップを渡します。金額は選手が自身の年俸などで決めるが、1日あたり500ドル(約5万9000円)も渡す選手がいると聞いた事があります。

メジャーリーガーの納税とシーズン中の昇格


 アメリカは国(連邦)だけでなく、試合を行った州ごとに滞在日数や試合数に応じた税金を納めなければなりません。これは日本の方には知られていないと思います。

 「どこの州で年間何日間、稼いだか(働いたか)」を、その州の税率に合わせて納税します。例えば「今年はボストンで9試合したからマサチューセッツ州へ支払う税金はいくら」といった具合です。

 最後に、シーズン中にマイナーからメジャーに昇格した場合についてお伝えいたします。メジャーリーグ各球団が支配下(登録)に置く選手枠は40人です。しかし、マイナー契約でもメジャー昇格が期待される選手ならば、「スプリット契約」という契約を結ぶことが多いのです。

 簡単に説明をするとすれば、開幕をマイナーで迎えた選手が、メジャーに昇格した時に、年俸が上がるという事です。シーズン中にメジャーとマイナーの両方に在籍した場合、球団側は一年を183日(6カ月分)とみなし、日割りで計算します。

 例えばマイナー期間は年俸10万ドル(約1180万円)、メジャーに昇格すれば200万ドル(約2億3600万円)という「スプリット契約」を結んだ選手がメジャーに1日在籍すれば、約129万円(2億3600万円÷183日)の日当が支払われる事になります。これはマイナー1日あたりの約6万4000円(1180万円÷183日)との差はとても大きいのが分かると思います。

著者PROFILE
1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。

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現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウトによる連載コラム。スカウトならでは視点で日米の選手をジャッジするほかMLBについても語る。

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