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記録の手帳 / 千葉功

世界一のヒットメーカーへ イチローが目指す未来

 

マーリンズのイチローが6月15日(現地時間)、日米通算で4257本目の安打を放ち、メジャー記録のピート・ローズの4256安打を抜いた。日米を通じての数字が新記録などの議論がやかましいが、イチローがあと「1266安打」を打てば文句なしに世界一だ。「50歳まで現役を続ける」と語っているイチローだけに、この記録への挑戦も夢物語ではないように思えてくる。(記録は現地6月20日時点)
写真=Getty Images

日米通算でピート・ローズの安打数を抜いたイチロー。日本が生んだ才能が前人未到の大記録を打ち立てた



鈴木一朗からイチローへ花開いた天賦の才


 イチローは打者の「記録=アベレージ(打率)」の世界に、安打数を持ち込んでくれた。

 昔は、焦点は打率であって、安打数は二の次であった。そこで50年に藤村富美男(阪神)が打った年間191安打は長いこと破られなかった。63年に広瀬叔功(南海)が149試合で187安打したときでもさほど騒がれず、年間200安打は日本の野球ファンにとっては視野に入っていなかった。それを実現したのが、92年に愛工大名電高からオリックス入りした鈴木一朗であった。

 91年11月22日に挙行されたドラフト会議でオリックスが4位指名で獲得したのが鈴木一朗。12球団どこのチームにも鈴木を指名できたチャンスがあったのである。最初は二軍スタート。そのころ、ファームの試合の記録員として派遣されているパ・リーグの若い記録員たちは異口同音に「鈴木っていう選手はすごいですよ。足も肩もすごいし、打つのはもっとすごい……」と言っていたのを思い出す。

 58試合に出場して打率.366で首位打者である。後半戦には一軍に定着し、40試合で95打数24安打の.253と高卒1年目の選手としては立派なものである。期待された2年目は一軍では43試合に.188では定着できない。代打で全16打数ノーヒットである。しかし二軍では.371だが、打席不足で2年連続の首位打者は逸していた。

 オリックスは94年から監督を土井正三から仰木彬に代えた。ここで仰木新監督は5年目の佐藤和弘の登録名を「パンチ」、3年目の鈴木一朗を「イチロー」と変え、積極的に売り出すことにした・・・

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