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岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「オレの中で高卒ルーキーと言えば江夏豊さんが真っ先に浮かぶ。高卒で通用するのは投手や。それは野球が『投手主導』やから」

 

高卒ルーキー時代から、ライバルの巨人、さらにスーパースターである長嶋さんや王さんを相手に三振を奪いオレの心を揺さぶった江夏さん。いまだに高卒ルーキーとしては最高の投手よ/写真=BBM、1968年9月28日、後楽園での巨人戦


セ・リーグの江夏豊、パ・リーグの鈴木啓示


 緊急事態宣言の発出……か。それに伴い、自粛要請の線引きを巡る議論で、日本国中が大混乱に陥っている。関西で最初の指定区域となった大阪、そして兵庫。大阪はオレの生まれたところで、兵庫は現住所。自分の行動を意識して、極力、自宅で過ごすようにしている。

 そんなとき、こんな知らせが来た。唯一の趣味であるゴルフで、ホームコースが約1カ月間、クローズするとのこと。こうなることは予測していたけど、一方で、ここまできたか、という気持ちになっている。だから今は適度な散歩で、体を動かす日々。散歩するのも時間を決め、人と人との距離をあけて……と自分なりの制限を設けている。とにかくガマンの時。そういうことなんやろうな。



 何か楽しいことはないか。雑誌もそういうことを考える。外出自粛が叫ばれ、ここで注目されるのは活字の見直し。活字離れとされる昨今、こういう状況で本を読んだり、新聞に目を通したり……と、活字の重さに気付かされる。ということで週べの特集は「高卒ルーキー」についてとのこと。「過去、高卒1年目から活躍した選手のことを思い出してください」と担当S君から連絡が来た。

 阪神でいえば、そら真っ先に思い出されるのが江夏豊さんよ。江夏さんは大先輩で、10歳上。でもオレの中では強烈な印象が残っている。小学生のころ、野球中継を見ていた。入団2年目の江夏さんの奪三振ショーよ。シーズン最多三振を奪った試合(1968年9月17日)、オレはしっかりとテレビ観戦していた。王さん(王貞治・現ソフトバンク会長)、長嶋さん(長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督)をキリキリ舞いさせ、巨人を抑え込んだあの雄姿。幼な心にカッコよさを感じ、シビれていた。

 とにかくスピードがあった。それに球質がズドンと重い、小学生でも、それが分かった。プロの強打者相手に力の違いを見せつけた。こんな投手は、その後、なかなか現れなかった。

 同じ時代、パ・リーグにもスゴい投手がいた。近鉄の鈴木啓示さんよ。実家が近くだったこともあり、近鉄の本拠地、日生球場によく行った。そこで見た鈴木さんの・・・

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岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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