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裏方物語 チームを支える仕事人

楽天 泉管理グループ寮長・中村稔 現代っ子と向き合いながら 「寮長としてのやりがいや楽しみというのは、選手の活躍しかない」

 

仙台市泉区にある泉犬鷲寮には毎年、ドラフトで指名を受けた新人選手がやってくる。プロでの成功を夢見て、準備を進める選手たちのサポートを行うのが、中村稔寮長だ。野球界で積み上げたさまざまな経験を生かし、一軍を目指す選手たちと向き合っている。
取材・文=阿部ちはる 写真=楽天野球団提供


紹介状の提出先


 楽天の若手たちが生活する泉犬鷲寮で寮長を務めている中村稔さんは、名古屋電気高(現・愛工大名電高)3年時にはエース・工藤公康(元ダイエーほか)とともに主将として甲子園に出場(1981年)し、その秋、ドラフト3位で日本ハムに入団した。5年間のプロ生活を経て審判に転身。オールスター5度、日本シリーズ13度(うち球審10度)を含む2876試合で審判を務めた異色の経歴の持ち主だ。

 私が審判という職業を選んだのは第二の人生のための就職活動の一つでした。日本ハムを自由契約になった際、当時の球団社長から「審判をやってみないか」という話をいただき、紹介状を書いてくれたんです。選手を終えてからも野球界にいられるのは幸せなことだなと感じ、僕はそれを持ってセントラル・リーグとパシフィック・リーグの事務局に行ったんですね。パ・リーグが8階、セ・リーグが5階にあり、上から順番に行こうと思いパ・リーグの事務所に言ったらすぐに採用していただいた、というのが流れです。

 ただ、プレーするほうと裁くほうでは全然違いますから、非常に難しかったです。辞めるまで苦労は絶えませんでした。今のようにリクエストもない時代ですからね。かつては落合(落合博満)監督(中日)がよく退場されました。監督が出てきて審判に文句を言って、というのも楽しみの一つだったかもしれませんが、今はそうじゃない。リクエスト制度があれば監督が出ることも退場することもないですからね。

 今はスポーツでも何でも正しいほうに向かう時代。リクエスト制度によって審判はやりやすくなったと思いますよ。正しいほうに変えるというのは勇気のいることですが、絶対に素晴らしいことだと思います。

 自分が下した判断に対し、辞めた今でも心に引っかかっていることもあります。例えば・・・

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