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【MLB】試合時間短縮のためコミッショナーは強硬姿勢貫く

 

試合時間短縮のため、マンフレッドコミッショナーは来季強硬にさまざまな制限をつけることを明言している。就任2、3年目と徐々に試合時間が長くなっていることは皮肉だ


 11月のGM会議で、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーが彼にとっての最重要課題「ペース・オブ・プレー」について、選手会の反対に遭っても新ルールは導入すると明言した。

 試合のテンポを良くし、ゲーム中のアクションを増やし、若い世代にこのスポーツをより受け入れてもらおうという狙い。実は、今年初め、コミッショナーは20秒のピッチクロック導入、捕手がマウンドに行く回数の制限、ストライクゾーンの変更、敬遠を監督の合図だけで行うなどを選手会に提案した。しかしながら、反対され、実現したのは敬遠だけ。ただ労使協定の取り決めで、いったん告知しておけば、1年後機構側が一方的に新ルールを導入しても良いことになっていた。

「私の希望は選手と話し合い合意してからだが、合意できないなら、それはそれで18年に新ルールを導入する」と断固たる口調だった。その上で最近、スポーツ専門チャンネルのESPNのインタビューで「選手もペースアップに何かをしないといけないのは理解している。建設的な解決策が導き出され、そこにピッチクロックが含まれているよう望む。クロックが選手のルーティンを変えたり、特にポストシーズンでは難しくなるのは分かる。しかしながらすでにMLBの半分以上の選手はマイナーでクロックを使った経験がある。能力の高いアスリートなら新しいペースに合わせられるし、長い目で見てファンにとっても良いこと」と説明していた。

 試合時間はマンフレッドがコミッショナーに就任した15年は2時間56分で、前の年より6分間短くなった。しかしながらこの2年間は3時間、3時間5分と再び延びた。17年は敬遠で投げる時間を省略し、リプレーオフィシャルのチェック時間も2分に短縮したのに効果は出なかった。

 ちなみに17年の投球間隔は平均24秒2だったそうだ。データサイト、ファングラフスによるとMLBで一番長かったのはドジャースのリリーバー、ペドロ・バエズで31・1秒。100イニング以上投げた先発投手ではソニー・グレイとマット・ガーザ(28秒4))、アレックス・コブ(27秒6)、ダルビッシュ有(27秒1)が特に長かった4人。田中将大は25秒6で13番目、前田健太は25秒3で20番目だった。

 攻撃を始めるまで、シュートを放つまで、常に秒刻みで時計に完全にコントロールされるアメリカンフットボールやバスケットボールと違い、野球はルールブックの文面はともかく、選手は自分たちの間合いで敵と対峙(たいじ)し、勝負できた。だがコミッショナーが「すでにMLBの半分以上はマイナーでクロックを使った経験がある」というように、クロック経験者は着々と増え、知らない選手は今後どんどん少数派になっていく。ピッチクロックは14年、アリゾナフォール・リーグで初めてテストされ、15年以降は2A、3Aで使用されてきた。3年で半分以上である。

 昨夏(8月中旬)、MLB機構はシカゴで選手会のトニー・クラーク代表や一部の選手たちと話し合いを持った。今は中断しているが、12月に再開する。MLB最高法務責任者ダン・ハーレムは「1月中旬までに合意できれば」と見通しを口にしている。
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