2018年に創刊60周年を迎える『週刊ベースボール』。おかげ様で、すでに通算3400号を超えている。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 対談『新人王への怪気炎』
今回は『1959年10月14日増大号』。定価は10円上がって40円だ。特別定価の際の定番センターのカラーページは『テレビ用のユニフォーム』。9月1日から
巨人が取り入れた赤いライン、赤い背番号ユニフォームの
広岡達朗、
藤尾茂、
長嶋茂雄、
藤田元司の写真だ。これは普及し始めたカラーテレビ用に考案されたものだが、「このユニフォームを着た試合は負けてしまう」という、嫌なジンクスもあったようだ。また、この号の活版ページの一部が赤みを帯びた紙となっていた。これも定番化するのだろうか。
本文巻頭は『鶴岡・水原5度目の真剣勝負』。ほぼ確定となった巨人─南海の日本シリーズ展望だ。このカードは1951年から53年、55年と4度行われ、すべて巨人が勝利している。
内容としては、9月20日に33勝目(4敗)を挙げた南海のエース、
杉浦忠を巨人打線が打ち砕くことができるかがポイント。そのカギを握るのが、長嶋とあり、さらにその後、『日本シリーズは負けられぬ』と長嶋、杉浦の対談が掲載と豪華だ。2人は立大同期でもある。
対談がもう一つあって、こちらは『新人王への怪気炎』と題し、東映・
張本勲、大洋・
桑田武の登場だ。桑田の甲子園での
阪神戦の話があった。当時の甲子園は巨人戦以外、なかなか満員にはならず、この年は成績が低迷したこともあって、さらに客の入りがひどかったらしい。
桑田 あそこでサードを守ってるでしょう。それで暇なときはスタンドのお客さんを数えてるんです。そのくらい少ない(笑)。
張本 それじゃ外野なんかほんと少ないでしょう。
桑田 ええ、外野へ入るのはたいてい賭けやってる人らしい。20人くらい固まって入っている。僕が初めてホームランを打ったとき、セカンドを回りながら見たら、二人くらい飛び上がって喜んでた。賭けに勝ったんですね、あれ(笑)。
連載『選手の秘密』では国鉄・
宇野光雄監督が登場。半分ジョークのようだが、ひそかな夢は馬で後楽園入りすることらしい。戦争中は陸軍騎兵中尉で、愛馬で駆け巡る爽快さを忘れることができないという。
この宇野については『宇野と金田の危険な関係』という記事があった。2人が衝突しているのではなく、20勝に届くかどうか微妙だった金田に対し、宇野監督には「どうしても金田に20勝させたい。優勝の望みもないので、せめて9年連続20勝の大記録を達成させてやりたい」という思いがあり、それがほかの選手の反感を買っているという内容だ。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM