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プロ野球仰天伝説

【プロ野球仰天伝説36】クイック誕生はこの男の“足”から。福本豊のすごすぎる盗塁術

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

ライバル投手を徹底的に研究”


通算1065盗塁をマークした福本


 ご存じ世界の盗塁王・福本豊(阪急)。1970年から13年連続盗塁王、72年の106盗塁、通算1065盗塁は当時の世界記録であり、いまなお断トツの日本記録として残る。

 その秘訣は俊足、一瞬の判断力もそうだが、ライバル投手たちを徹底的に研究し、攻略したからである。時に8ミリビデオも使い、背中のシワの寄り方までチェック。投手のクセを見抜いた。

 対戦相手もそれぞれ策を練ったが、福本が一番覚えているのが、県営宮城球場を本拠地にしていた時代のロッテ。福本がスタートする一塁ベースの先と、二塁ベース手前に砂を敷いて軟らかくしたのだ。

 ただ、これではたまらんとそれを避けていると、同じリードでも外野寄りではけん制が多く、ホーム寄りでは少ない。それが投手の目には遠いほうがリードを広く取っていると感じると分かったとき、福本の盗塁技術の幅も広がった。

 しかし、福本が「すべて白紙に戻った」と衝撃を受けたのが、南海の捕手・野村克也が投手に指示したクイックである。ただ、いつしか福本はそれも克服。福本は「ノムさんのおかげでレベルの高いランナーにしてもらえた」と語り、野村は「福本の盗塁が日本プロ野球を変えた」と称賛した。

福本豊(ふくもと・ゆたか)
1947年11月7日生まれ。大阪府出身。大鉄高から松下電器を経てドラフト7位で69年に阪急へ。2年目の70年に外野のレギュラーに定着すると、75盗塁で盗塁王のタイトルを獲得、以降13年連続で盗塁王。MVPにも輝いた72年のシーズン106盗塁、通算1065盗塁は当時の世界記録だった(現在でも日本記録)。通算三塁打115本、通算初回先頭打者本塁打43本も日本記録。88年限りで現役引退。2002年野球殿堂入り。主なタイトルはMVP1回、盗塁王13回。通算成績2401試合、2543安打、208本塁打、884打点、1065盗塁、打率.291。

写真=BBM
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