今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 「給料だって高いんだぞという誇り、これが大事だと思う」
今回は『1960年9月21日号』。定価は30円だ。大洋が首位を守るセに対し、パは南海が8月14日から9連敗と急落し、大毎の独走気配となっていた。
巻頭特集は巨人・
別所毅彦の特別手記。タイトルは『巨人を甘くみくびるな』だ。7ページにわたって熱く書いて(おそらくは話して)いる。
チームの覇気のなさなどについて憤りながら語っている中で、意外と締まり屋だった別所らしい個所があった。
「減俸には絶対反対だ」という章である。巨人軍の選手は給料が高いからハングリーさがない、という声への反論だ。
「巨人の給料は高くて当然だと思う。日本一の人気チームであり、プロ野球の今日を作り上げてきたチームなのだから、これはアメリカの
ヤンキースの場合と同様だ。ヤンキースはチーム中随一の給料だという。それだけの誇りを持っているのだ。
巨人の場合もそうだ。おれたちは巨人の選手だから、他のチームと違うんだぞ、給料だって高いんだぞという誇り、これが大事だと思う。
かりに負けたら給料を安くするというようなケチな考えをもったら間違いだ。そうしたらジャイアンツの値打ちがなくなってしまう」
別所の名誉のためにいえば、当時選手の給料は決して高いものではない。いわば「長い間、大きな利益を生んできた一流企業の社員なのだから、1年くらい業績が悪いといって、すぐ給料下げるなんて軽く言うな」という程度で読んでいただきたい。
『人物、ニュース・ストーリー』では、大洋の代打の切り札・
麻生実男が登場。前年新人ながらショートで出場機会を増やしたが、守備に難があり、
三原脩監督が代打男に指名した。彼はいち早くコンタクトレンズを使い始めた選手でもあった。三原は「麻生は勝負強い。うちの切り札は麻生だ。ダイヤのエースだね」と手放しで絶賛している。
以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。
現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM