今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『12球団昼と夜の合宿生活実態』
今回は『1960年10月12日増大号』。定価は10円アップの40円だ。巻頭グラビアは首位大洋に1ゲーム差と詰め寄った巨人の多摩川練習の様子。本文巻頭も『三原、水原最後の巌流島』とし、9月26(川崎)、27、28日(後楽園)で予定された最後の直接対決を展望している。
大洋・
三原脩監督は言う。
「私は一挙手一投足にまで気を配り、あたかもそれが意味があるように行動した。また選手たちは私の一挙手一投足に何か意味があることをピンと感じてくれた。もしそれがなかったら大洋はこうまで強くなれなかったでしょう」
多少禅問答のようでもある。
一方の巨人・
水原茂監督はすでに辞意を固めたようだ。敗戦の後の重苦しい雰囲気の中、「大本営発表、何も言うことなし、以上終わり、水原監督談」と言って記者たちを笑わせるなど、勝敗に対し淡々となっていた。
解説者の
佐々木信也は大洋の強さについて次のように分析する。
「三原さんは力の野球が理想だと言っている。それは三原さんの頭の考えだ。しかし本当に三原さんの肌が好んでいるのは、いまの大洋のようなチームなのではないだろうか。代打代走をめまぐるしく出して、1点差で勝つ三原さんを見ると、まるで水を得た魚のように楽しそうだ」
なお『巨人、大洋優勝するとしないでは』では親会社の優勝効果について検証していた。これによれば、当時マルハでオレンジジュースを売り出したらしく、これに三原監督を使ったポスターを作り、評判になっていた。また読売新聞は巨人が勝つか負けるかで、次の日の売上が1割5分違うらしい。
大井廣介の『プロ野球時評好球悪球』では「トトカルチョを拒否せよ」と64年東京オリンピックの財源確保のため野球のトトカルチョを制定しようとしている東京都への反対記事だ。時代は回るか。
『12球団昼と夜の合宿生活実態』では12球団の寮が紹介されているが、国鉄が面白かった。
部屋名が「雲仙」「
大和」「銀河」「明星」「出雲」「安芸」「かもめ」「南風」「奥陸」「日本海」「青葉」「阿蘇」。すべて当時の急行列車の名前だった。
以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。
現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM