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センバツ名勝負伝説

【センバツ名勝負伝説02】甲子園2442試合目にして成し遂げられた快挙

 

いよいよ始まった「第90回記念選抜高校野球大会」。週べONLINEでは歴代の名勝負をピックアップし、1日1試合ずつ紹介していく。

無欲の大記録


マウンド上の松本は淡々と投げているように見えた


1978年3月30日1回戦
前橋(群馬)1−0比叡山(滋賀)

 それまで誰一人として成し遂げられなかった快挙。成し遂げた男は試合後、「相手に申し訳ないことをしてしまいました」と言った。

 1978年3月30日、大会第4日目、第3試合だった。群馬代表の前橋は、滋賀代表の比叡山と1回戦を戦った。

 前橋の先発は右腕の松本稔。初球は外角低めへのストレートだった。松本はストレートの球速は驚くほどではなかったが、カーブが3種類あり、特に、フォークのように真下に落ちるような変化をする球には絶対の自信があったという。

 ただ、この日はカーブだけでなく、ストレートが伸び、スライダーもキレ、比叡山打線に的を絞らせない。1回はわずか7球で三者凡退。その後もヒットを許さず、味方打線が4回裏に1点を先制する。

 以後、焦りから早打ちして凡打を重ねる比叡山打線。最終的には、松本はわずか78球、1時間35分で、春のセンバツ1019試合目、夏の甲子園大会も含めれば、2442試合目にして初の完全試合を達成した。

「甲子園は僕にとって別世界。出られるなんて思っていなかった。出られたことが大変なおまけだったんです。だから結果はどうでもよかったんです」

 まさに無欲の大記録だった。

写真=BBM
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