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センバツ名勝負伝説

【センバツ名勝負伝説08】沖縄尚学がPL撃破で初優勝に弾みつける

 

いよいよ始まった「第90回記念選抜高校野球大会」。週べONLINEでは歴代の名勝負をピックアップし、1日1試合ずつ紹介していく。

“まずは1勝”が目標のチームが……


最後の打者を三振に仕留め、比嘉公也がガッツポーズ


1999年4月3日準決勝
沖縄尚学(沖縄)8−6PL学園(大阪)

 この大会の優勝候補は、前年1998年夏、松坂大輔を擁する横浜(神奈川)と延長17回の死闘を繰り広げたPL学園だ。田中一徳ら前年の経験者が残り、3季連続の対戦となった横浜を1回戦、6対5で破っての4強進出だった。対するは、左腕・比嘉公也をエースに接戦を勝ち上がってきた沖縄尚学だ。

 大会前の沖縄尚学は、お世辞にも優勝候補とは言えず、監督も選手もまずは1勝が目標。金城孝夫監督は「選手が汗をかいて着替えるとき、アンダーシャツから湯気が出るのに感激するんですよ。沖縄では考えられませんから。まずは、こっちの気候に慣れなくては」と話していたほどだ。

 しかしながら試合は、まず沖縄尚学が初回に2点を先制し、4回に1点、7回に2点を加え、5対2とリードする。空気が変わったのが、その裏だ。PL学園が二死からエラーと四球を絡め、3点を取って同点に追いつく。1点目につながるエラーをしてしまった主将で四番・遊撃手の比嘉寿光は、「これがPLか」と背筋が震えたという。

 試合はそのまま延長戦へ。11回に互いに1点を取り合い、6対6で延長12回を迎えた。そして12回表の沖縄尚学の攻撃、二死二塁からだった。比嘉公のレフト前の浅い当たりに田中一が思い切って突っ込むも、打球はグラブからこぼれ落ち、後逸。沖縄尚学に勝ち越しの1点が入る。さらに一番の荷川取秀明にもタイムリーが出て2点目。その裏、比嘉公は気迫のピッチングでしっかり0点に抑え、212球の完投勝利。最後は大きくガッツポーズをした。

 決勝の水戸商戦では、比嘉公は登板を回避したが、沖縄尚学は「コウヤのためにも」と打線が爆発。10安打7点で7対2と勝利し、沖縄に初めての甲子園優勝をもたらした。

写真=BBM
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