今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 権藤博の快進撃
今回は『1961年6月12日号』。定価は30円だ。
中日の新人右腕・
権藤博は、この年、「権藤、権藤、雨、権藤」と言われる連投で話題になった男だが、どうやら快進撃が始まったらしい。センターグラビア3ページに加え、
佐々木信也連載対談にも登場だ。
阪神戦で打たれた後だったらしいが、佐々木と投球スタイルについてのやりとりがある。紹介しよう。
佐々木 とにかくストレート速いよ。
権藤 あんまり腕だけでほうって、体が出ないの自分で分かるんですね。
佐々木 力み過ぎは分かったけど、あのポトンと落ちるやつ、シンカーですか。
権藤
シュートなんですけどね。
佐々木 ひねるわけか。
権藤 ひねると言ってもヒジと肩に無理しないように、手首だけでひょっと持ってくるんです。だから無理しないですね、肩には。手首をきかすだけでスッと落ちちゃうんです。
佐々木 すごく落ちるね。やはり2ストライクを取ってからが多いの。
権藤 ええ。
佐々木 きょう見ていて、カーブの出るところとストレートの出るところ、シュートの出るところ、みんな同じところから出るし、同じフォームからほうるから、この人の球、打ちにくいだろうと思って見ていた。
特別レポートでは「“大阪球場”マウンドの疑惑」。大阪球場での南海−大毎戦の記事だ。この中で大毎・
小野正一が大阪球場のマウンドについて愚痴っている。
「ここのマウンドは杉浦が投げいいようにできているんですよ。僕みたいなオーバーハンドのピッチャーではダメなんです」
杉浦忠。南海のアンダーハンドのエースだ。ややおだやかならぬ話ではある。
「このマウンドはステップする位置が高いんです。ふつうですと、ステップした足が着く位置は、もう投手板を頂点にした山が下り坂になっているんです。ところがここは盛ってあって、まだ下り坂になってないんですよ。
だから僕みたいな上からほうるピッチャーがよほど抑えんと低めに球がいかないんです。大阪球場はどうしても杉浦に有利なようにマウンドができているとしか思えない」
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM