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自身の不甲斐なさに人目をはばからず、涙を見せた東海大相模高の主将・小松勇輝

 

痛恨の捕球ミスで……


東海大相模高の主将・小松は攻守に「アグレッシブベースボール」の象徴的存在。桐光学園高との県大会準決勝敗退後、チームリーダーとしての責任を感じ、涙を見せていた


 今春のセンバツ準決勝(対智弁和歌山高)で敗退後、東海大相模高・門馬敬治は、大会統括として、こう発言している。

「本気の経験、本気の失敗をした彼らには夏がある。彼らは生かせると思います」

 甲子園での敗戦から25日後の(4月28日)。東海大相模高は桐光学園高との神奈川県大会準決勝で敗退(2対5)した。

「アグレッシブベースボール」がモットーである東海大相模は攻守に攻め続けて、試合の“入り”で主導権を握るのが必勝パターンである。しかし、この日は1回表に一死一、二塁の先制機をつかむも、後続2人が凡退して無得点。試合の流れとは、怖いものである。

 その裏、先頭を内野安打により出塁を許すと、犠打で一死二塁。続く主将・山田陸人(3年)の左中間適時打で先制を許す。4回裏には二死走者なしから、2安打の後、押し出し、暴投、押し出しと自滅の形で3失点を許してしまう。しかし、東海大相模高は5回表に反撃。プロ注目の三番・森下翔太(3年)の2点適時打で追い上げムードを作るものの、その裏に痛恨のプレーが出てしまう。

 簡単に二死とした後、遊ゴロを東海大相模高の名手・小松勇輝(3年)がまさかの捕球ミス。桐光学園高は次打者の適時二塁打で1点を追加し、完全に試合の流れをつかんだ。東海大相模高は6回以降も走者を出すが、得点には結びつかず、そのまま2対5で敗れた。

 試合後、主将の小松は自身の不甲斐なさに、人目をはばからず涙を見せた。

「ああいったミスをするのは、スキがあったとしか……。厳しさが足りなかった。先に取られる展開はあまりなく、自分的にも焦りがあった。練習からもっと、集中力を高めていかないといけない」

 冒頭の門馬監督の「彼らは生かせると思います」の言葉を受け、小松は「今大会、優勝できていないんですから、生かされていないということ」と厳しい表情で語った。そして、こう続けた。

「どこかで『勝てるだろう』というムードがチーム全体にあった。(センバツ4強という)山を下りきれないまま、春の大会を迎えてしまった。一番下まで下りて、ひた向きに取り組んでいきたい。夏は待ってくれない。また、帰って練習したい」

 取材後は涙がかわき、前を向いた小松。東海大相模高は今日から足元を見つめ直し、夏の登山にアタックしている。

文=岡本朋祐 写真=大賀章好
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