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週刊ベースボール60周年記念企画

長嶋なんかこわくない?/週ベ1962年4月16日号【211】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

「僕は知らん(笑)。敬遠はどうも好かんですね」


表紙は巨人宮本敏雄


 今回は『1962年4月9日号』。定価は40円だ。開幕直前号で、表紙をめくると、巨人・長嶋茂雄が自宅の庭で素振り。三冠王に挑む長嶋は、このシーズンも注目の的だ。センターグラビアを見ると、甲子園を沸かせた新人同士の対決が実現したようだ。東映・尾崎行雄と巨人・柴田勲である。試合は尾崎に完投勝利で終わった。

 佐々木信也の対談連載では、その尾崎が登場していた。抜粋する。

佐々木 ジャイアンツ相手に完投勝利した感じは(4月1日オープン戦)。

尾崎 勝利投手もいいけど、王(貞治)と国松(彰。なぜか巨人の選手は呼び捨てだったので、以下もそのように)にホームランを打たれたでしょ。いまでも頭がカッカしてます(笑)。あんなの完投勝利と言われへん。

佐々木 昨年の日本一チームに被安打6、三振9つだよ。

尾崎 全然満足しないです。きょう起きて新聞パァと見たら“国松、王、一発”と書いてあるでしょ。それ見てまた頭きた(笑)。

佐々木 長嶋は怖くなかった?

尾崎 別に怖くなかったですね。前に浜松で長嶋とやったときは三振取りました。それできのうは1回目に三振取ったでしょう、まあ、これから怖さが分かってくるとは思ってるんですよ。いまはオープン戦だから、相手もあまり力を入れてやってこないからね。

佐々木 セ・リーグのピッチャー、みんな長嶋が怖くて敬遠するんだよ。

尾崎 僕は知らん(笑)。敬遠はどうも好かんですね。

佐々木 オープン戦で怖いバッターはいたかい?

尾崎 別にいなかったですけどね。ただ、ど真ん中にほうり込んだらやっぱり打たれちゃう。きのうも国松、王にど真ん中打たれたんです。やっぱり怖かったですね、ど真ん中にボールが行ったら。

 さすが。このくらいの心臓がなければ、プロではやっていけないのだろう。

 中日江藤慎一の捕手転向話もあった。見出しは「好漢江藤の義侠心」と仰々しい。江藤は、アマ時代は捕手だったがプロではチャンスを求め、一塁、さらに外野でスタメンを手にしたが、この年は、正捕手の吉沢岳男濃人貴実監督と対立し近鉄移籍。代わりがいなかったことで自ら手を上げた。ブランクもあって自信はなかったようだが、結果的には、同年104試合にマスクをかぶっている。

 以下宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』が好評発売中、『ロッテ編』は28日発売予定です。

では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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