チームが頂点に立つために重要な役割を担うのがキャプテンだ。自身の成績だけでなく、周囲に気を配り、チームが一丸となる雰囲気を作らなければならない。卓越したリーダーシップを持つ男たち。セ・リーグでキャプテン制を敷くのは巨人、阪神、DeNAの3球団だが、その他の球団の“キャプテン的選手”と合わせて紹介していこう。 読売ジャイアンツ
昨年12月14日で30歳となった坂本勇人が、名実ともにチームリーダー。2014年オフに第19代キャプテンに就任し、今季で5年目のシーズンを迎える。しかし、チームは15年にタイトルを逃して以降、球団史上ワーストの4年連続のV逸。この間、首位打者、最高出塁率(ともに16年)、ゴールデングラブ(16、17年)と個人での活躍は目立ったが、坂本キャプテンが宙に舞ったことは一度もない。自身をキャプテンに指名した
原辰徳監督が4年ぶりに現場復帰となり、成熟期を迎える背番号6は「優勝しかないと思っています。僕がキャプテンになってから優勝していませんし、(原監督は)勝負に対する執念がすごい強い方なので、僕も一緒になってそういう気持ちでやっていきたい」と優勝への想いを強くする。
阪神タイガース
2019年がプロ3年目となる内野手の糸原健斗が新主将に就任した。昨季チーム唯一の全試合出場を果たし、自身も今季レギュラー定着を狙う存在だ。「手本となるベテランの方も多いので、しっかりコミュニケーションを取りながらやっていきたいと思いますし、キャプテンとして自分の取り組む姿勢だったり、率先して声を出したりすることで、チームを引っ張り、盛り上げていきたいと思います。ファンの皆様、一緒に優勝しましょう!!」と球団を通じて熱いコメントを発表している。入団3年目での主将就任は球団最速だが、それだけ厚い信頼を受けているのだ。
横浜DeNAベイスターズ
筒香嘉智がキャプテンとして5シーズン目を迎える。前任の
石川雄洋からバトンを受け継いだのが2015年。以来、先頭に立ってチームを鼓舞してきた。当初は手探り状態だったまとめ役も、徐々に強固なキャプテンシーへと変貌していった。とりわけ、2016年の球団初のCS進出、17年の19年ぶりの日本シリーズ出場は、キャプテンの言動がチームを一つにまとめ上げた結果といっても過言ではないだろう。昨年11月の契約更改では、球団にメジャーへのあこがれを伝えた。それだけにプロ入り10年目となる今季は、集大成の思いが強いに違いない。「19年はベイスターズのために頑張りたい。チームのために身を削ってでもやる」と決意をにじませている。
広島東洋カープ
広島の場合、近年は全体キャプテンを置かず、必要に応じてピッチャーキャプテンやブルペンキャプテンなど部門別のキャプテンを置く形をとっており、今季の体制もまだはっきりとはしていないが、チームの精神的支柱だった
新井貴浩が引退し、新たにチームをまとめてキャプテン的な働きをする選手が求められる部分は少なくない。現状のメンバーを見渡すと、その役割を負う適任者は、やはり四番の鈴木誠也を置いてほかにいないだろう。本人も自覚十分で、「黒田(博樹)さん、新井さんにいいものを残してもらったので、消してはいけない」と語っている。自ら“カープ魂”の体現者となり、中心となってそれを引き継いでいく覚悟だ。
中日ドラゴンズ
中日は現在、キャプテン制を敷いていない。だが、個性的な面々がチームを支えている。選手会長の福田永将はグラウンド外での雑務には真摯に対応し、グラウンドでは黙々と背中で引っ張る。
大島洋平は選手会の理事長を務め、打線でリードオフマンを担うのと同様に、年長者としてチームをけん引。
亀澤恭平は元気印としてベンチの盛り上げ役だ。投手陣の柱はエース・
吉見一起で、多くの若手投手を連れて自主トレを行うなど、後輩の成長を手助け。
松坂大輔は自身の経験を踏まえて若手にアドバイスを送るなど、実績十分のベテランならではの助言も多い。選手寮・昇竜館の最古参である
小笠原慎之介は、ルーキーに対し「なんでも聞いてほしい」と胸を張る。各自ができることを最大限行い、チームを活性化させている。
東京ヤクルトスワローズ
昨季までは正捕手の
中村悠平がその役割を担っていたが、今季からはキャプテン制が廃止となる。
小川淳司監督の「シーズンに入ればプレーに集中させたい」という思惑からだ。今後は各選手に自発的なリーダーシップを求めることになるが、その中でも注目される存在は青木宣親だ。昨季、7年ぶりに古巣復帰を果たすと、プレーのみならず、言葉でもチームをグイグイと引っ張った。その結果、最下位から2位に躍進。帰ってきた「背番号23」の効果は絶大だった。青木は「皆がやっていけば責任が生まれるし、強いチームになれる」と断言。スワローズは青木を中心に新たな方向へと向かっていく。
写真=BBM