昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 ベテラン・戸口の夕刊配達
今回は『1966年1月17日号』。定価は50円だ。
巨人・
広岡達朗の契約更改での発言が物議を醸していた。
広岡は前年オフはトレード騒動を起こし、その際「2割5分は打つ」と言ったが、実際には.229。波乱の予感があった。
ただ、話し合いの後、広岡は「アップしたか」の記者の質問に、
「きょうは金額の話はしなかった。それより契約更改のやり方がおかしいのではということを言った」
おかしな点を尋ねると、
「上の人のウケがいい選手がアップになったり、高いサラリーを取ったりしている人がさらに余計もらっている。満足に働いてない選手が意外とアップする中、月給20、30万の人にしわ寄せが来ていた。そういう点をもっと公平にしてほしいというわけですよ」
川上哲治監督がチームプレーと言いながら、わき役に徹し、自分の成績は大したことがなかった
須藤豊らがダウンしているのはおかしい、という。
「長島(茂雄)、王(貞治)はもらって当たり前」と言っていたから暗に
金田正一批判もあったようだ。金田は契約更改前だが、入団前に、翌年も2000万円と約束があったらしく、長期離脱がありながらダウンはないという。
グラビア記事で阪急のベテラン、
戸口天従が夕刊を走りながら配るシーンがあった。当時、オフにいろいろな副業をする選手はいたが、これはかなりきつそうだ。
給料20パーセントカットを言い渡された際、友人から「新聞配達でもして腹を引っ込ませろ」と冗談交じりに言われ、本当に始めたという。
「いい運動になる。なにせ130軒やからな」
お腹は順調に引っ込んでいるらしい。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM