昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 柴田の隠し子騒動の真相は?
今回は『1966年4月18日号』。定価は60円だ。
1966年シーズンの開幕が近い。後楽園はデーゲームで巨人─大洋、ナイターで東映─阪急戦とあわただしい。
後楽園では、読売新聞の販促のためのばらまきもあってプラチナ化が進む巨人戦のチケット。混乱を緩和するため、この年、2000万円をかけ、外野の3000席を指定席として改装し、外野入場券の自動販売機を10台設置したという。
巨人では新人・
堀内恒夫の評価が上がっていた。キャンプではさっぱりで野手転向話もあったのが、3月27日のオープン戦では快速球と大きなカーブが冴えて2回をピシャリ。
川上哲治監督は「試合になるといいピッチングをするな」と話していた。
新人では東京の
木樽正明が3月30日、故郷銚子で大洋とのオープン戦に登板。銚子市営球場には、球場始まって以来という7000人の観客が集まった。
試合のポスターは木樽のイラスト、試合前の花束贈呈も選手代表で受け取るなど、まさに“木樽デー”だったが、肝心のピッチングは今一つ。それでも、
「いまのうちに打たれたほうがいいですよ。オープン戦だからという気持ちはないですけど、まだ調整できるという余裕がありますからね」
ガムをかんで登板した南海・
村上雅則もそうだが、明らかに若者の気質が変わり始めている。現代っ子という言葉もよく使われていたようだが、おそらく、こんな言葉も頻繁に言われていただろう。
「いまどきの若いもんは……」
そして、その現代っ子代表が、この年の主役であり、おそらく、この連載でも頻繁に登場するであろう、悪太郎・堀内だ。
モテ男、巨人・
柴田勲に隠し子騒動が起こった。ただ、当の柴田は、
「とにかくアホらしくて怒る気にもなりません。すべては球団に任せ、特には何も言わないつもりです」。
実際、発端はかなりバカバカしい。スポーツ紙のインタビューで、
「今年は何が何でもやらにゃ。妻子4人くらいかかえたつもりでね」
と話したのが、いつの間にか「つもり」が消えていただけだった。甘いマスクで芸能人との浮名も多かった男でもある。
前回触れた東映のリーザー・コーチのいざこざは解決せず。開幕を待たずしてリーザーは辞任し、帰国した。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM