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ベースボールゼミナール

バットを短く、寝かせて構える意味は?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.小学5年生の野球を始めたばかりの子どもを持つ親です。コーチにバットを短く、さらに寝かせて構えるように持て、とアドバイスを受けていますが、その効果とはなんでしょう。また、どの程度まで短く、寝かせて構えるものですか。(埼玉県・45歳)



A.短く持つことで操作がしやすくなり、寝かせることでインパクトまで最短距離でバットを出せる


イラスト=横山英史


 まず、バットを短く持つことの意味から説明しましょう。バットを長く持つよりも、短く持つことでバット自体を振る力が少なくて済みますし、操作もしやすくなり、芯に当たる確率が高くなります。質問の方のお子さんの身長や体重などが分からないので何とも言えませんが、体が小さく、バットを振る力も備わっていないため、コーチにそのようなアドバイスを受けたのだと想像がつきます。

 また、バットを寝かせて構えることの意味は、立てて構えるよりもインパクトの瞬間までにヘッド(つまりバットです)が通る距離が短くなり、始動からインパクトまで最短で出せるからでしょう。ムダな動きを省いてスイングするためです。

 短く持つ、寝かせて構えるなどのアドバイスはいいのですが、併せてそれにどのような意味があるのかまで、コーチの方には説明をしてほしいですね。特に相手が小学生なのですから、なおさらだと思います。

 短く持つ、寝かせて構えるの程度についてですが、ヘッドが水平のラインよりも下がってしまっては意味がありません。ここからボールにコンタクトさせようとすると、下からもぐるようなスイング軌道となり、最短距離ではバットが出なくなってしまいますので、注意が必要ですし、ここまでコーチの方は見てあげなければいけません。「短く持て、寝かせろ」では小学生は理解できませんよね。

 バットを極端に短く持ったり、寝かせて構えたりするのは、その選手にバットがそもそも合っていないことも考えられます。小学生が使用するような金属バットでも、重さ、長さなど種類はさまざまにありますので、自分に合ったバットをまずは見つけるべきです。

 ひょっとすると、質問の方のお子さんが使っているバットが、変に長いために、「短く、寝かせて」というアドバイスになっているのかもしれません。その子の力に合った、体格に合ったバットを見つけてあげてください。

 力がない選手であっても、長く持ってスイングできる重さ、長さのバットもありますよ。あとはバットの出し方の問題で、そこだけを意識すればいいと思います。寝かせても出にくいという選手は必ずいて、それで窮屈になるくらいならば立てて構えてもいいと思います。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。
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