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【MLB】マチャドが10年3億ドルの大型契約。十人十色関係者のさまざまな反応

 

史上最高10年約330億円でパドレスと契約を交わしたマチャド。小さなマーケットのチームの巨額契約に、周囲の反応もさまざまだ



 2月19日カクタス・リーグ(アリゾナ州)のメディアデーで、MLBの重鎮たちが集結。午後2時からロブ・マンフレッドMLBコミッショナー、3時からアリゾナでキャンプを張る球団のGMと監督がそれぞれ会見した。

 その日の午前中にマニー・マチャドがパドレスと10年3億ドル(約330億円=1ドル110円換算)で合意とニュースが出たため、関係者たちの反応に注目が集まる。悲しみに包まれていたのはホワイトソックス。リック・ハーンGMは「うちのオファーのほうが上。獲得できなくてがっかりしている」と沈痛な面持ちだった。

 報道によると提示額は8年2億5000万ドルで、保証額は少ないが、インセンティブやべスティングオプションで3億5000万ドルに届くのだという。前日、オーナーとともにマチャドの代理人に会い、オファーを引き上げていただけに怒りすら垣間見えた。少し遅れて会場に現れたのがパドレスのAJ・プレラーGM。テーブルの前にTVカメラと記者がずらりと並ぶ。しかしながら身体検査、MLB機構による契約内容のチェックなどまだすべてが終わってはいないため、直接の言及を控えた。

「FA選手なので何も話せない。この数カ月間チームを強くするために働いてきた。優勝のためにはインパクトのある選手が必要。FAでもトレードでも機会があれば動く」。争奪戦を制した高揚感はうかがえたが口は堅い。プレラーより素直に喜びを表現したのは、先に会見したマンフレッドコミッショナーだった。

「大物スターが小さなマーケットのチームに行くのはいいことだと思う」とホッとした様子。FA市場が2年連続で停滞し、選手会とのあつれきが深まり、制度そのものに問題があると批判が高まっていただけに、地方都市チームでもこれだけ出資できたことに救われた様子だ。

 一方ポーカーフェースだったのはドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長。「パドレスは大きくバットを振ったね。マニーにとってもパドレスにとっても素晴らしいこと」と話したが、同地区で公式戦18試合も当たる相手だけに新たな脅威である。昨季は25・5ゲーム差をつけたがパドレスのファームシステムはMLB30球団でもトップと高い評価だ。

 フェルナンド・タティース遊撃手ら有望株たちが一人前になるのも時間の問題で、彼らをトレードして他球団から一線級の先発投手を補強するかもしれない。うかうかしてはいられない。報道によると、ドジャースのクレイトン・カーショー、ナショナルズのマックス・シャーザーらトップ選手は歓迎した。こういった大型契約がプロ野球選手の夢として重要だからだ。

 一方で争奪戦に絡まなかった他球団は淡々としていた。このような小都市球団の背伸びオファーが、その後どうなったかを鮮明に覚えているからだ。2014年末、マーリンズはジアンカルロ・スタントンと13年3億2500万ドル、00年末レンジャーズはアレックス・ロドリゲスと10年2億5200万ドルで合意した。しかしながらチームは優勝争いには絡めず、計画は頓挫(とんざ)。高額のサラリーが重荷となり、3年後にヤンキースにトレードと同じ結末だった。ゆえに勝者パドレスがうらやましいとは必ずしもならないのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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