プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2002年3月20日だ。
この日、球界に激震が走った。北海道新聞と系列の道新スポーツが「日本ハム、札幌移転、04年目標に計画」と報じた。その情報は一気に日本全国を駆け巡り、関係者は確認に追われた。
桂信雄・札幌市長は「前年秋に日本ハム球団から内々に、04年移転について検討したいとの話があったのは事実」と証言。日本ハム球団の小嶋武士球団社長も、東京・六本木の球団事務所で緊急会見に応じ、「かねてから北海道に来てほしいという要請はあった。いろいろな角度から検討して具現化した矢先に報道があった。球団としては前向きに対応してきた」と報道を肯定。一気にフランチャイズ移転が現実味を帯びた。
東京から札幌へのフランチャイズの移転。身売りを経ての移転はあったが(クラウン・福岡→
西武・埼玉、南海・大阪→ダイエー・福岡)、親会社が変わらないフランチャイズ移転は、
オリックスが91年に西宮から神戸に、92年には
ロッテが川崎から千葉に移転したように近隣都市への移転で、選手などにはあまり影響がなかった。
選手の間にも動揺は広がった。選手会長の岩本勉は、「地元意識が高まってファンが増えるので、興行的にはいいと思う」。
奈良原浩も「選手である以上、移転してもそこでプレーするだけ」と冷静な立場をとったが、ベテランの
田中幸雄は「なぜ(開幕を控えた)今の時期にこんな話が出るんでしょう」と開幕に向けた大事な時期での衝撃に驚きを隠せなかった。
写真=BBM