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2019センバツ

【センバツ】夏準V右腕の父を超える! 筑陽学園・福岡大真の挑戦

 

初戦で見事に2安打


樟南高で1994年夏に準優勝を遂げた福岡真一郎を父に持つ筑陽学園高・福岡大真は福知山成美高との1回戦で2安打を放って、初陣で初勝利に貢献した


 NPBスカウトは原則、今大会出場32チームがすべて登場する大会6日目の第1試合まで16試合を視察する。4日目の第1試合。広島田村恵スカウトはネット裏で「ジュニア」の動きに目を細めていた。捕手だった樟南高(鹿児島)でバッテリーを組んだエース・福岡真一郎氏の息子・大真(たいしん)外野手(筑陽学園高)が、福知山成美高との1回戦で「六番・右翼」で先発。グラウンドに熱視線を送りながらも、かつての仲間の息子のプレーに思わず表情も緩んだ。

「感慨深いものがありますね。良い選手ですよ。足も速い。お父さんは(自身と)夏に準優勝している。春はベスト8が最高成績ですから、それを超えてほしい」

 福岡は左打席からシュアな打撃で、3打数2安打(1四球)と、春初出場の同校の初戦突破に貢献した。右翼守備でも好捕を見せて、センスの良さを印象づけた。左右に打ち分ける巧みなバットコントロールを披露したが、目指す選手は「バットを振れる」とオリックス吉田正尚。さらに、「逆方向への打球がすごい」と打者・大谷翔平(エンゼルス)も目標の打撃スタイルである。

 甲子園初打席で放った左前安打は「取り組んできたことが出せた。気持ち良かったです。父からは『甲子園はすぐに終わるぞ!!』と言われていましたが、確かに気づいたら終盤。楽しかった」と充実感ある表情を見せている。

 父・真一郎氏は1994年夏の甲子園準優勝投手。93年春には準々決勝に進出している。端正なマスクでアイドル的な人気を誇った。息子もクリッとした目がそっくりである。「ファンレターですか? もらったことなんてないですよ」とはにかんだ笑顔にも似ている。

マウンドに立つ可能性も!?


 筑陽学園高と言えば西雄大、西舘昂汰の両右腕に左腕・菅井一輝と複数投手で県大会、九州大会で優勝を遂げた。江口祐司監督は「三本の矢」と言うほど全幅の信頼を寄せているが、この日は西が2失点で完投。盤石の投手スタッフを擁すが、大会前からビッグプランが水面下で進行している。

 3月に入り、福岡の外野からの送球を見た江口監督が「投げてみないか?」と、投手の指示を出したのだ。福岡は「急造の急造ですよ」と報道陣を笑わせたが、練習試合では1回1安打無失点。見事なマウンドデビューを飾り、ストレートで1つの三振も奪っている。「計測してことはないです」と、自己申告ながら最速は135キロ。父・真一郎氏と言えば、鋭く変化するスライダーが武器だった。自身もスライダー(ほかにチェンジアップ)を持っているが、握りを教わったことはないという。

 登板の可能性を問われると「経験も少ないので、怖いです」と、やや不安そうに語った。かつて甲子園のマウンドで父が準優勝を遂げただけに、その偉大さを感じているのかと思えば「経験の違いです」と、強気のコメント。今大会は実現しないだろうが、抜群の運動センスだけに、夏までの成長が期待される。

 とにかく、父の実績を超えたい思いが強い。

「優勝を目指してやってきた」

 平成最後の甲子園チャンピオンを見据える福岡大真のセンバツは始まったばかりである。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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