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2019センバツ

スカウトの高評価は? “2019センバツ”ドラフト事情

 

No.1選手は星稜高のエース


2019年ドラフトにおいて1位指名候補となっている星稜・奥川(左)と横浜・及川(右)。今春のセンバツにおいても、スカウトの注目度は高かった


 大会第6日目の第1試合(熊本西高−智弁和歌山高)が1回戦最後のゲームとなり、今大会の出場32校がすべて出そろった。3月23日の大会初日から全国から集まった12球団のNPBスカウトは、早朝から夕方まで球児のプレーを、確かな視点と眼力でその「将来性」を追っていた。

 プロの目には今大会の出場選手がどのように映ったか。スカウト幹部の声を拾いながら「2019センバツドラフト事情」を総括する。

 誰に話を聞いても、今春の「No.1選手」は星稜高・奥川恭伸である。屈指の好カードと注目された履正社との1回戦では自己最速を更新する152キロをマークし、17奪三振完封。圧巻の投球ぶりに、スピードガンを構えるネット裏も興奮に包まれた。

 中日中田宗男アマスカウトアドバイザーは「1位候補です」と、あらためて素材の高さを絶賛。昨年の金足農高・吉田輝星にも共通するが、展開によって真っすぐを使い分けるクレバーな配球に「バッターからすれば厄介」と付け加えた。またスライダー、フォークと変化球もカウント球、勝負球として使え、日本ハム・大渕隆スカウト部長は「引き出しが多い。投げることのセンスを感じる」と評価を高めた。また、楽天後関昌彦スカウト部長は、総合力の高さに「大学生はまだ見ていないが、戦力的に一番、早く出てきそう」と、高校生でありながら即戦力であることを認めている。

 横浜高の153キロ左腕・及川雅貴は明豊との初戦で敗退したとはいえ、高評価は不変。今大会は本来の力を発揮できなかったが、ポテンシャルの高さに惚れ込む球団が多かった。巨人・長谷川国利スカウト部長は「走る姿、体のしなやかさに加えて、バネがある」と目を細めた。昨秋まではストレートとスライダーのみで勝負してきたが、今春はチェンジアップを解禁。センバツまでには完全習得とまではいかず、各球団とも調査を継続していく方針。ロッテ松本尚樹球団本部長も「プロでも、腕の長い左腕は減っている。菊池雄星投手(マリナーズ)の次を担う素材ではないでしょうか」と、ノビシロに期待を寄せている。

 このほか右投手では八戸学院光星高との1回戦で150キロを計測した広陵高・河野佳が優れたマウンドさばきを披露。また、津田学園高・前佑囲斗、石岡一高・岩本大地もキレの良いボールを投げ込み、将来性の高さを見せている。左腕では履正社高・清水大成、高松商高・香川卓摩、龍谷大平安高・野澤秀伍の投球術に光るものがあったと言える。

野手は右の大型三塁手に注目


 一方、野手は東邦高・石川昂弥のセンスに注目。富岡西高との1回戦では完投しているが、チーム事情でマウンドに上がっており、プロ入り後は野手で勝負するのが大方の見方。強肩で足もあり、右の大型三塁手として興味を示す球団も多かった。右のスラッガーでは札幌第一高との1回戦で2本塁打をマークした山梨学院高・野村健太のパンチ力も魅力的。遊撃手ではともに主将で右投げ左打ちの八戸学院光星高・武岡龍世、桐蔭学園高・森敬斗のシュアな打撃と、守りでの動きの良さが目立った。

 二塁手の智弁和歌山高・黒川史陽の強打に注目するスカウトも複数いた。捕手では奥川を巧みな配球でリードする星稜高・山瀬慎之助、智弁和歌山高・東妻純平が強肩、大分高・江川侑斗のプレーの正確性に着目するスカウトがいた。

 昨夏の大阪桐蔭高・根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、報徳学園高・小園海斗広島)、金足農高・吉田輝星(日本ハム)のようなインパクトの強さから比べると、ある球団のスカウト部長は「やや小粒だった」と印象を語っている。とはいえ、高校生は「いつ成長してくるのか、個人差がある。(地方大会のある)夏までしか見らないですから、今大会、リストアップされた選手を含めて、引き続き調査を進めていきたい」と今後、新たな逸材発掘にも胸を躍らせながら、甲子園球場を後にしていた。

 センバツにおける「奥川ドラフト」も終わり、4月に入ると全国26連盟の大学野球、そして社会人野球のJABA大会も各地で開催される。原則、甲子園に集結したスカウトはこの日で解散し、担当地区へと戻っていく。2019年のスカウト戦線はいよいよ本格化していく。

写真=石井愛子

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週刊ベースボール編集部

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