巡ってきたチャンスで、三森はどんなアピールを見せるか
外野手がいない! ケガ人のアクシデントはここ数年の
ソフトバンクの“お決まり”ではあるが、今年もとは……。4月17日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)では
上林誠知が2回に右手甲に死球を受けて4回表に途中交代したことで、内野手の
川島慶三が左翼に、
牧原大成が右翼に入った。19日現在は、右翼・上林が痛みを押して強行出場、中堅を
釜元豪が守り、左翼には牧原が入るといった状況だ。
しかし、裏を返せば、若手選手たちにとっては大チャンスだ。12球団屈指の選手層を誇るソフトバンク。特に外野は昨季、上林が台頭しレギュラー格となったことで、左翼・
中村晃、中堅・
柳田悠岐と布陣ががっちり固まっている。こんな状況でなければ、簡単に入り込むことはできない。
工藤公康監督も「若い選手にはしっかりアピールしてもらって」と発破をかける。
そんな中、18日に左アキレス腱痛で登録抹消された
長谷川勇也に代わって、注目株の一人が一軍初昇格を果たした。3年目の
三森大貴だ。青森山田高から2017年ドラフト4位で入団した185センチの大型内野手。攻守走三拍子そろい、特に打撃では鋭いスイングと巧みなバットコントロールを見せる。プロ入り後はそこにパワーも加わり、長打も増えた。
1年目は二軍出場27試合、2年目は50試合と着実にステップアップしている三森だが、今春キャンプの際、話を聞くと、2年目の昨季を「もったいなかった」と振り返った。
「昨季はケガ(左足首)があり、1年間戦うことができませんでした。ケガをしたときは特に意識はしませんでしたが、1年が終わったあと、本当にもったいなかったなと。例えば誰かがケガしたときの代わりとか、『1年間戦い続けていればチャンスは来る』んですよね」
チャンスを逃さないために「攻守走すべてのレベルアップはもちろんですが、一番大切なのは1年間戦い続けるための体づくりです」と語った三森は、言葉どおり一軍に向けた“準備”に取り組んできた。
そして今、チャンスが巡ってきた。昇格即プロ初出場となった4月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)では8回から
内川聖一に代わり一塁守備に就き、「そんなに緊張せず、しっかりボールを触ることができた」と三森。昨季の経験があるからこそ、しっかりと準備はできていた。あとは自分の持ち味を発揮し、このチャンスで存分にアピールするだけだ。
文=菅原梨恵 写真=桜井ひとし