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早大・加藤雅樹はドライチ候補を攻略して評価を高めることができるか?

 

早大の主将・加藤は東大2回戦(4月21日)で自身初の2本塁打(通算8号)を放った


 自チームのベンチ側とは逆の内野スタンド中段で観戦するのが、ポリシーとしてある。早大攻撃中、自チームの戦略がよく見えるからだ。座席から身を乗り出し、教え子が立つ打席の打撃フォームを細部までチェックする。

 早大・徳武定祐コーチは80歳だが、その情熱は高まるばかり。今春のリーグ戦からチームを率いる小宮山悟監督を、打撃部門において全面的にサポートしている。

 開幕カードの東大2回戦。早実、早大の後輩にあたる愛弟子の主将・加藤雅樹(4年)が、自身初の1試合2本塁打を放った。

 徳武コーチは現役時代、国鉄ほかで活躍し、引退後はロッテ中日でヘッドコーチ、監督代行などを歴任し、打撃指導に定評がある。主将が記録した2本のアーチに「やるべきことはやってきた。そこで結果が出たわけであるから、取り組みは間違えではなかった、と。自信。それが一番、大きい」と目尻を下げた。

 加藤は早実時代に、高校通算47本塁打。早大ではレギュラーに定着した2年春に首位打者を獲得。しかし、そこから壁にぶつかる。同秋から昨秋までの3シーズン、不本意な成績が続いた。昨年11月、小宮山監督(1月1日付で就任のため、当時は特別コーチ)が指導をスタートしたタイミングで徳武コーチが復帰。かつて阪神鳥谷敬ヤクルト青木宣親らを大学時代に育成した熱血指導者との出会いが、復調のきっかけとなった。

 構えからバットの出し方、タイミング……。ゼロから二人三脚で、打撃フォームを作り直した。昨年11月から4カ月、全体練習後もマンツーマンで猛練習。辛抱を重ねて、ようやく新たなスタイルが固まった。東大戦での2本塁打こそが、努力の成果である。

 4月27日からは序盤の山場である明大戦。早大、明大とも開幕カードで勝ち点を挙げており、優勝争いへ大事な直接対決だ。明大はプロ注目右腕で主将も兼務する森下暢仁(4年・大分商高)を擁する。加藤も大学卒業後のプロ入りを目指しており、ドラフト1位候補を攻略すれば一気に評価も高まる。

「とにかく、何が何でも優勝。絶対に優勝する、と。そのためにできることをやりたい」

 開幕前、主将としての決意を語っていた。最上級生の加藤は2016年4月入学。つまり、2015年秋以来リーグ制覇から遠ざかる早大は、優勝経験者が不在。同期の4年生とはもちろんのこと、後輩と勝利の喜びを共有し、次世代に伝統を残したい思いが強い。

 早実時代には、偉大な高校先輩になぞられ、メディアから「王貞治二世」と呼ばれた加藤は、卓越した打撃センスを誇る。早大のキャプテンナンバー「10」を着けたチームリーダーのバットから目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔
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