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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

セ・リーグの首位・広島の交流戦でのポイントは?

 

DH有力候補の松山竜平。打線の中でカギを握る存在になるか


 5月を球団記録となる月間20勝、4敗1分けでさらにはこれも球団最多記録の貯金16という驚異的なペースで突っ走り、6月3日現在、2位・阪神に4ゲーム差と、セ・リーグで頭一つ抜け出した感のある広島。6月4日からはいよいよ交流戦を迎える。セ・リーグのチーム相手に9カード連続勝ち越しを続けていただけに、ここで相手が変わり、パ・リーグ主催ゲームではDH制があるなど、若干ゲームのリズムも変わる交流戦となるのは大歓迎とは言えないかもしれないが、2016、17年は交流戦で2位との差を大きく広げてリーグ優勝につなげた広島だけに、今年も今の勢いを持続し、その再現を狙いたいところ。今季の交流戦のポイントなどを展望してみたい。

 交流戦で、2016年にはセ・リーグ唯一の勝ち越しとなる11勝6敗1分けで、2位とのゲーム差を2.5差から6差に広げ、17年には12勝6敗で2位との差を1差から3差に広げて、それぞれリーグ優勝へとつなげている広島だが、昨年は投手陣が崩れ(交流戦期間中チーム防御率5.60)、7勝11敗の負け越しに終わっている(ただし、セ・リーグとの対戦に戻ったところでいきなり6連勝し、体勢を立て直した)。これには、交流戦最初の3連戦で、強打・西武を相手に投手陣が3試合で26失点と、完全にリズムを崩してしまったことが大きかった。くしくも今季もスタートはその西武との戦い。そのあとには昨年の日本シリーズで甲斐拓也に機動力を封じられたソフトバンクが待つとあって、この最初の2カードをどう乗り切るかが大きなポイントとなりそうだ。

 ただ今季は、昨年のように投手陣がガタガタと崩れてしまうことはないだろう。昨年と比べると、先発陣の安定感はかなり高くなっている。エースの大瀬良大地と、復調著しいジョンソンはかなりの確率でクオリティースタート(先発が6回以上投げて3自責点以内)が期待できるし、これに続く床田寛樹野村祐輔もある程度安定している。そこに、プロ初勝利を7回途中までノーヒットノーランの快投でマークした若武者・山口翔が加わる。5月に好調を維持していたアドゥワ誠が、6月2日の阪神戦(マツダ広島)で乱調だったため、先発ローテーションを外れることになりそうだが、代わりに入ることが濃厚な九里亜蓮は、昨年の交流戦ではソフトバンク相手に完投勝利をマークしており、実績は十分。本来の抑えの中崎翔太がやや調子を崩している感じだが、フランスアを抑えに使ったり、レグナルトを勝ちパターン継投に組み込むなどして、そこさえうまくやりくりできれば、投手陣は計算が立つ。

 打線のほうでポイントになってくるのは、パ・リーグ本拠地で採用されるDHに誰が入るかというところだ。現状のメンバーだと、左の松山竜平と右の長野久義のツープラトーン起用が有力だろう。打順は六、七番に入る形になるか。今季ここまでは本来の打力が出せていない両選手だけに、何としてもここを復調のきっかけにしたいところ。特に松山は、昨年の交流戦で、規定打席到達者ではチームトップの打率.373をたたき出し、4本のホームランを放っているだけに、交流戦にはいいイメージがあるはずだ。また、2016年の交流戦で「神ってる」のフレーズとともにブレークした主砲の鈴木誠也が、それ以降も毎年交流戦で好成績を残しているのも、チームにとっては心強い材料だ。

 日程的には、前半をうまく乗り切れれば、最後の6試合は本拠地開催で、かつ今季パ・リーグでやや苦しんでいるロッテオリックスが相手。昨年はこの両チームにも負け越しており、もちろん油断はできないが、ここで勢いをつけてセ・リーグとの対戦に戻れるような流れが作れれば、目標のリーグ4連覇はぐっと近づいてくることになるだろう。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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