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ベースボールゼミナール

プロでは走塁力を上げるためにどんな練習をしている?【後編】/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は走塁編。回答者は現役時代、たびたび好走塁を披露した元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.中学校で野球部の指導をしています。プロ野球のキャンプなどを見ていると、打撃、守備とさまざまな練習を取り入れていますが、走塁力を上げるためにどのような練習を行っているのでしょうか。(鹿児島県・34歳)



A.ストップの指示でも「行ける」と判断すれば行っていい


イラスト=横山英史


 前回の続きです。プロ・アマ問わず、どうしても普段の練習では打撃6、守備3、走塁1の割合になってしまいますが、特に中学生年代であれば、走塁に力を入れていくことで劇的な変化が生まれる可能性があることを説明しました。また、プロの世界では打撃練習(フリー打撃)中に各塁に走者をつけて行う練習に力を入れていることも紹介しました。これは実戦に近い形での練習が試合に生きることが理由(また、ペナントレース中は時間的な制約があることも)ですが、さらに言うならば、1カ所での打撃練習でランナーをつける練習がベストだと思います。

 ヒット1本で二塁からホームへかえる、一塁から三塁を陥れる、長打で一塁からホームへかえる、これらを可能にするのは、ムダのない走塁であることに違いはありませんが、最も重要なのは打球判断であることを理解してください。試合では打って、走るわけですから、ただベースランニングを行うよりも、実際にバッターが打っているときに走塁練習をするほうが良いことを分かっていただけると思います。

 その打球判断を早めるには、ピッチャーが投げたボールに対して、バッターがどのようなインパクトをするのかをしっかりと把握し、そしてそのタイミングを合わせることが必要になります。打順が固定されているチームなら、自分が塁上にいるときに打席に入る可能性のあるバッターの際にランナーにつくことをオススメめします。このバッターでインコースにこの角度でバットが出たらライト方向に行く。逆にこの角度ならレフトに飛ぶ。高めなら、低めならと、この際に特徴を覚えておくのです。相手ピッチャーによっても異なりますが、それも観察していけばだいたいの傾向がつかめて、一歩目を切る際の参考になるでしょう。

 実際の練習では、(1)一塁、(2)二塁、(3)三塁で練習を行いますが、(1)、(2)の場合はヒット一本で2つ先の塁を奪うことを想定します。実際には三塁コーチャーの指示を見ることになりますが、ストップの指示でもランナーが「この打球なら行ける」と自信を持って狙えるならば狙っていい。それくらいになるまで練習を繰り返し、感覚をつかんでほしいですね。「どうかな?」と思ったらGOです。

<「完」>

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。
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