熱戦が繰り広げられている高校野球大阪大会。果たして、甲子園の切符をつかむのはどのチームか。主役となるであろう、注目選手をクローズアップする。 清水大成(しみず・たいせい)
投手/176センチ76キロ/左投左打/3年
ずっと探してきた。履正社のエースとは――。最後の夏を前に、答えを見いだしつつある。
どの持ち球よりも、直球に自信がある。最速は145キロ。求めるのは数字ではなく、「相手が狙っていても、空振りが取れる球質」だ。
理想の投手像は、OBで2016年夏に甲子園で躍動した同じ左腕の
寺島成輝(現
ヤクルト)。「マウンドでのオーラや迫力がすごかった。あの大エースという雰囲気を出したい」。強く願う理由が、ここまでに経験した敗戦にあった。
昨夏の北大阪大会。2年生ながらエース格として期待されてきたが、直球が思うように走らない。大阪桐蔭との準決勝では先発を任されず、救援したものの一つのアウトもとれずに降板。逆転負けを見つめることしかできなかった。
今春のセンバツ1回戦では、星稜(石川)の好右腕・
奥川恭伸と投げ合い、敗れた。8回2失点と試合は作ったが、「絶不調でした。ふがいない投球をしてしまい、申し訳なかった」。大一番で力を出し切れない自分を責めた。
清水に前を向かせたのは、仲間との対戦だ。よく行われる試合形式の打撃練習。「履正社には、えりすぐりのいい打者が集まってくる」。そんな相手との真剣勝負は、これ以上ない鍛錬の場だ。これまでも、履正社の投手陣はそうやってたくましく育ってきた。
6月中旬、いつもは控えめな声が弾んでいた。「状態も上がってきました。相手が誰であろうと、どんな場面だろうと、ベストボールを投げ込むだけです」。課題だったピーキングも手応えをつかんでいるようだ。この夏こそ、履正社のエースらしく強気に左腕を振る。
文=朝日新聞社 大阪本社スポーツ部 小俣勇貴 写真=BBM