今シーズンの開幕直前に、
日本ハム・
栗山英樹監督にロングインタビューをした。
そのときに何度も何度も口にしていたのが「今年ほど戦術面、選手起用でいろんな面で選択肢が多い年はない。優勝できるだけの戦力はフロントが揃えてくれた、あとはいかに僕が選択を間違えないかだけ……」。
その言葉どおり就任8年目を迎えた指揮官の采配は例年以上にアグレッシブだ。ショートスターター、データに基づいた大胆な守備シフトをはじめ、
中田翔の代わりに四番に
近藤健介を据えた打順パターン、不動の遊撃手だった
中島卓也も打撃の調子が上がらないことから前半戦終盤からはスタメンから外すことが増えるなど、過去にはないタクトを見せている。
前半戦が終わった時点で7ゲーム差があった
ソフトバンクとの差も、7月20日時点で2ゲームに。逆転優勝へ向け、勝負どころと位置づけていた後半戦最初の直接対決で青写真どおりの3連勝を決めた。その大事な初戦でも
堀瑞輝をショートスターターとして抜擢し、続く
ロッテとの3連戦4戦目では
浦野博司をふたたび先発で起用し、6回無失点の好投で5連勝に大きく貢献した。
2016年にもシーズン中盤で首位・ソフトバンクと11.5ゲーム差を離されながらも、大逆転優勝を飾った日本ハム。
大谷翔平のようなスーパーな選手こそいないが、優勝こそ逃したが2017年、18年シーズンで着実に新たな戦力の台頭、チームとしての力は着実に上がってきている。逆境になればなるほど強さを発揮し、過去にも何度も奇跡的な粘りを見せてきた。
「常識を疑うことで、新しいものが生まれると思ってやっている。それはこれからも変わらない」
鷹の背中をはっきりととらえた栗山ファイターズが、大混戦の様相を呈してきたパ・リーグの主役に躍り出る。
写真=BBM