ファン一人ひとりの胸に宿る甲子園のヒーロー。第100回の大きな節目となった夏の甲子園を前にNPB100人に「甲子園のヒーローは?」とアンケートを実施して「B.B.MOOK1414 ファンが選ぶ名勝負ランキングベスト100」に掲載したのをここに公開。迎えた第101回、新たなるヒーローは誕生しただろうか? 2年の夏には優勝投手に
さすがNPBの100人というべきか、票が割れに割れる結果となった今回の企画。26人もの選手が1票ずつを獲得して16位に並び、4人が2票で12位タイ、5人が3票で7位タイ、3人が4票で4位タイと、順に紹介してきた。ここで、ようやく初めて、単独での3位となる。5票を獲得したのは、あの右腕だ。
【NPB100人が選んだ甲子園のヒーロー】
・3位(5票)
★
田中将大(駒大苫小牧・投手。ヤンキース)
(出場校とポジション。現在の所属)

駒大苫小牧・田中将大
2013年に空前絶後の24連勝で
楽天を初優勝、日本一に導き、海を渡って現在はメジャーのヤンキースで活躍を続ける田中将大が単独3位につけた。甲子園での田中といえば、早実の
斎藤佑樹(
日本ハム)と投げ合った2006年の決勝、引き分け再試合が思い出されるファンも多いだろうが、その前年、05年の夏には2年生の投手として初めて球速150キロを突破し、北海道勢初の夏2連覇に大きく貢献。優勝を決めた瞬間、マウンドで雄叫びを上げた。
この2年生の夏、優勝投手となった姿を印象に残しているのが
DeNAの
神里和毅だ。
「2年生で優勝投手になったとき、最後を三振で終わらせたシーンを、よく覚えています」
ただ、激戦を投げ抜いた翌06年の夏は、この神里にもインパクトを与えた。
「体調が万全じゃなかったと言われていますが、その中で、あれだけのピッチングをしたことは、本当にすごいと思いましたね。そのときは自分も投手をやりたいな、というあこがれがありました」
ヤクルトの
大下佑馬も、
「子どものときから野球をテレビで見るタイプではなかったんですが、あの早実との決勝は別。子どもながらに田中投手のすごさに感激しました。あの試合だけは真剣に見ていましたね」
と振り返っている。
鈴木誠也が見たラストシーン
楽天で田中とプレーした経験もあるDeNAの
中川大志も06年の夏を印象に残す1人だ。
「自分がプロ入り前まで投手をやっていたこともありますし、自分が高校1年のときに3年生の田中さんが斎藤佑樹さんと投げ合ったのが印象的です。魅力のある勝負でした。ああいった舞台で、あれだけの投球をするのが、どれだけすごいことかと、今になって感じます」
06年の夏を振り返りながらも、他の選手と少し違った感想を漏らしたのが
広島の
鈴木誠也だ。
「斎藤佑樹さんと延長15回、引き分け再試合になった決勝の投げ合いは、やっぱり、すごかった。いい試合でした」
と語るものの、一方では、
「田中さんの投球内容よりも、(再試合で)最後の打者として三振に倒れる場面が、なぜか印象深いんです」
確かに、田中の甲子園でのラストシーンは打者としてだった。再試合の9回裏二死、1点を追う場面で打席に入り、斎藤が投じた144キロのストレートを豪快に空振り三振。この“最後の直接対決”も、この試合を名勝負と呼ばせる一因なのかもしれない。
写真=BBM