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高校野球のスターがプロ、国際試合で苦戦の要因は「飛びすぎる金属バット」

 

2017年、夏の甲子園で大会最多6本塁打を放った広陵・中村奨成(現広島)もプロでは苦しんでいる


「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回はU-18ベースボールワールドカップに出場する高校日本代表についてお話しさせていただきます。

 甲子園で繰り広げられた熱戦の興奮が冷めやらない中、今月30日から「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」が韓国・機張で開催されます。この大会に出場する高校日本代表の選手たちが国内合宿を行っていますが、国際試合は非常に貴重な経験になると思います。

 世間では甲子園が注目されますが、国際大会で味わう野球は高校野球と「別物」だと感じます。国によって野球のスタイルが違いますし、同じ140キロでも日本人投手と直球の軌道が違ったり、今まで感じたことのない球威を体感することもあるでしょう。選手たちにとって貴重な経験になると思いますし、野球人生の大きな財産になると思います。

 また、高校野球は金属バットを使うのに対し、国際大会は木製バットを使わなければいけません。ご存知のとおり、木製バットは下半身をしっかり使って芯を食わなければ打球が飛びません。金属バットは上半身の力だけで芯でなくてもミートすれば飛んでいくので、打席での感覚はまったく変わります。私はロッテヤクルトDeNAと3球団でコンディショニング・トレーナーを務めてきました。高校野球でスラッガーとして脚光を浴びてプロ入りしたけど、プロで木製バットへの対応に適応できないまま退団した選手たちを何人も見てきました。

 理にかなった打ち方を早い時期から身につけるために、高校野球は金属バットの反発力を木製バットと同じぐらいにしても良いのではないかと個人的に思います。打球が飛ぶ金属バットは得点が入りやすく、一気に大量得点を奪う可能性も高いため劇的な試合が多い側面もあるので、非常に難しい問題ではありますが……。

 また、これも私案ですが、高校生たちが国内外の子どもたちに野球を教える機会をもっと増やしてほしいと思います。特に甲子園でプレーした選手たちは子どもたちにとってスーパースターです。野球部は引退しても、地元で野球教室などを開けば、野球人口の拡大につながると思います。

 日本だけではありません。東南アジアなど野球をしたことがない子どもたちがたくさんいます。世界的に見ればサッカー、クリケット、テニスに比べて野球はマイナースポーツです。野球の素晴らしさを伝える普及活動に、子どもたちと年齢が近い高校生や大学生が携わる環境を作っていくべきではないでしょうか。

文=インプレッション・平尾類 写真=BBM
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