昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 おヒップがちょっと落ちてますね
今回は『1968年9月2日号』。定価は60円。
大下弘監督の休養の後、東映の指揮を執っていた
飯島滋弥監督代理。
打席に向かう
大杉勝男に向かい、
「大杉さん、月がレフトスタンドの上空に見えるでしょ。あれに向かって打ちなさい」
と言って話題になったことがあるように、独特の言語感覚の持ち主だったらしい。
飯島は慶大から46年、東映の前身セネタース入りし、大映、南海と転じ、55年限りで引退した。
その後、野球評論家になったが、ラジオ中継で、
「長嶋さんが打てなかったのは、おヒップがちょっと落ちていましたからね。それに打った瞬間、おアゴがあがりました」
という少々奇妙な口調が特徴だった。
ただ、これがなぜかウケて、歌謡番組やクイズ番組のゲストで呼ばれることが増え、司会をすることもあったという。
しかし一度、したたかに酔っぱらってクイズ番組の司会をし、番組をメチャクチャにしたことでテレビ局が激怒。
各局からほされ、再び野球解説に専念することになった。
その後、67年東映のコーチとして現場復帰したが、なかなかユニークな指導をする人だったようだ。
2つ例を紹介する。
1つは「張本ゴーゴーダンス」。
不振が続いた
張本勲に、
「おヒップが回り切れないので、インパクトしてもボールが伸びないんだよ。ゴーゴーの要領でバットスイングしてごらん、いいヒットが打てますよ」
白仁天には、打席向かう前、ネクストで「東京音頭」のアドバイス。
「東京音頭のお囃子の要領だよ。ヨーイ、ヨイでバットを振ってごらん。うまくタイミングが合い、いいミートができますよ」
張本がこれでスランプを抜け出したかは定かではないが、白は逆転ホームランを放ったらしい。
では、またあした。
すいません、週の頭からアップ遅れてしまいました。
<次回に続く>
写真=BBM