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川口和久WEBコラム

田口、九里よ、引退する永川先輩のために「やっちゃれよ」/川口和久WEBコラム

 

低迷期のカープを支えた1人


足を高々と上げる独特のフォーム



 彼は、低迷期のカープファンの心の拠り所になった男だった。

 2003年入団の永川勝浩だ。1年目から40試合に投げて25セーブ。その後、先発や中継ぎもやったが、4年目の06年から守護神に定着し、07年から09年までは、すべて30セーブ以上をマークしている。

 入団から7年間で163セーブはすごい(現在は165セーブ)。波があるタイプで、危なっかしい年もあったが、06、08年は防御率1点台と安定していた。この2年に関しては、彼が出たらカープファンも「よし、勝てる!」と思ったんじゃないかな。

 地元出身。広島新庄高から亜大を経ての入団で、クビが少し傾く、ノーランライアン風の独特のフォームが特徴だった。長い腕を目いっぱい使い、全盛期は三振奪取率も高かった。

 最大の武器はフォークだ。ストレートも速かったが、フォークでいかに打ち取るか、空振りさせるかというピッチャーだった。
 以前、彼と話したとき、「走れないとピッチャーはパワーが出ません」と言っていたが、10年以降は故障に苦しみ、最後は左ヒザを痛めたのが、引退の決定打になったようだ。

 18年は22試合に投げているけど、そのときのピッチングを見たら、フォークではなく、スライダー、カットボールがメーンになっていた。

 要は空振りを狙うのではなく、バットの芯を外すというのかな。ストレートの球威が落ちた分、自分の現在の力、コンディションを考えた選択だったと思う。

 話がそれるかもしれないが、1つ思うのはフォークボールの難しさだ。
 昔は、まさに魔球だった。しかし、今は打撃技術の進歩もあって、結構、ボール球は見送られる。それだけ引き付けているからだろうね。
 こうなると、ただフォークを投げるだけじゃなく、それなりのスピードがあるストレートとうまく絡めるか、ストライクが取れるフォークもないと厳しくなっている。

 永川は、自信を持っていたフォークがあまり通用しなくなり、かつ球速も落ちてきた中で、新しいスタイルを模索していったのだと思う。ただ、俺も経験があるが、やっぱり最後は、これ以上、進めない壁がある。
 投手の場合、昔は32、33歳くらい、今は36歳前後かな。ここで転機がくる。

 俺は今、ゴルフでドライバーが250ヤード飛ばなくなって、必死に新しいドライバーを探している。ゴルフの場合、道具がカバーしてくれるからね。当たり前だが、投手はそうはいかない。自分の体一つで勝負しなきゃいけない。
 ドライバーが飛ばないとピッチングが……、じゃなくて、真っすぐが打者の脅威にならなくなると(球速だけじゃない)、途端にピッチングは難しくなる。

 永川は亜大出身で後輩には同じ広島の九里亜蓮がいる。あいつとはよく話すが、「永川さんにはずいぶんアドバイスをもらいました」と言っていた。九里は、今年8勝か。2ケタに向けた絶好のチャンスだ。永川魂で「やっちゃれ」だな。

 そういえば、高校の後輩には、巨人田口麗斗がいる。他チームだからアドバイスはもらえなかったかもしれないが、お前も、そろそろ先発のチャンスをもらえるかもしれない。永川先輩のためにも「やっちゃれ」よ。
 まだ、若いんだから、このまま終わったらもったいないぞ。

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週刊ベースボール編集部

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