今季、チームで最も勝利を挙げた投手は誰か? パ6球団の“チーム最多勝投手”をまとめる(記録は9月16日現在)。 福岡ソフトバンクホークス
真のエースへ、千賀滉大の進化はとどまることを知らない。今季は1度も先発ローテを外れることなく、どんなときも先頭に立ってチームを引っ張ってきた。積み上げた勝ち星13(9月17日現在)もさることながら、圧巻なのはその投球内容だ。シーズン終盤になっても衰えるどころか、勢いを増している。9月6日の
ロッテ戦(ヤフオクドーム)では球団76年ぶり2人目のノーヒットノーランを達成。中5日で迎えた次の登板、12日の
西武戦(メットライフ)は勝ったほうにマジックが点灯する大一番だったが、冷静に、それでいて熱のこもった投球で、強力西武打線を8回1失点に抑えた。激しい優勝争いの中で、絶対的エースの存在感が光る。
埼玉西武ライオンズ
西武で2ケタ勝利に達しているのは
高橋光成、そしてニールだ。この新外国人右腕は抜群の安定感を発揮している。開幕当初は結果を残せなかったが、4月後半から二軍で過ごした2カ月間で日本の野球にアジャストする方法を学んだ。すると6月下旬に一軍再昇格後は負けることなく勝ち続けた。首位攻防戦となった9月11日のソフトバンク戦(メットライフ)でも7回1失点と好投。球団の外国人では1994年の
郭泰源以来、25年ぶりの9連勝を飾った。シーズン最終盤、リーグ連覇のために背番号54の存在は欠かせない。
東北楽天ゴールデンイーグルス
チームの二本柱の
岸孝之、
則本昂大が3勝ずつと低迷する中、ここまで9勝をマークし、チームの勝ち頭となっているのが辛島航だ。緩急をつけた投球に定評があり、今季は先発ローテの中心としてチームを支えている。ただし、6敗と貯金が「3」にとどまっていることと、防御率4.25という不安定さが気がかりな点。また、自身初の2ケタ勝利がかかった9月14日の
オリックス戦(京セラドーム)では5回途中3失点で敗戦投手に。残り試合は少ないが、初の大台到達はなるか。
千葉ロッテマリーンズ
高卒3年目の右腕・種市篤暉が先発ローテの救世主となった。昨季は後半に7試合の先発のチャンスを与えられながら初勝利は遠く、4敗、防御率6.10に終わり、開幕先発ローテを目指した今季も中継ぎスタート。だが、4月29日の楽天戦(楽天生命パーク)で今季初先発してプロ初勝利を挙げると、以降は先発ローテの中心として腕を振っている。オフに投球フォームを見直したことで自慢のストレートの球威はさらに増し、ソフトバンク・千賀滉大に極意を学んだフォークもキレ味に磨きがかかった。ここまで
二木康太、
石川歩に並ぶ7勝にはチーム最多とはいえ物足りなさも残るが、
井口資仁監督が「将来はエースになる存在」と期待を懸けるまでに成長を遂げている。
北海道日本ハムファイターズ
自身初の最多勝のタイトル、また大台となる「15勝」まであと1つに迫った。日本ハムの勝ち頭であり、エースの役目を担っているのが有原航平。プロ5年目を迎えた右腕が開幕から先発ローテーションをけん引している。直近の登板となった9月14日のソフトバンク戦(札幌ドーム)でも6回4安打3失点と粘りの投球を見せたが、味方の援護に恵まれずに勝ち星は「14」で止まったまま。残り登板数はおそらく1試合と予想されるだけに、15勝と1勝差の13勝をマークしている千賀滉大(ソフトバンク)との熾烈な戦いは、最後の最後まで予断を許さない。低迷するチームにあって希望の光でもある有原の存在。その右腕で初のタイトルをつかめるか。
オリックス・バファローズ
投手リーダーに指名され、開幕投手も務めた今季。先発陣の中心となる活躍を期待された23歳・山岡泰輔が自身初の2ケタ勝利に到達し、チームトップの11勝(4敗)を挙げている。「負けない投手」を志す右腕は「貯金をつくりたい」と挑んだプロ3年目は言葉どおりの成績も「野手に助けてもらっている。負けも消してもらって、勝ちも付けてもらっているのが現状です」と、投球自体に応えはない。現在、リーグトップの勝率を誇り、タイトル獲得も期待されるが、『勝率一位』は13勝以上が条件。「スコアボードに0を続けて、最後までマウンドを譲らない」が不変の目標である右腕が、シーズン最終盤に“納得”の投球を披露できるか。
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