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絶望的となったセンバツ出場。名門・横浜高が迎えた正念場の時

 

横浜高は桐光学園高との神奈川大会準々決勝で敗退(0対3)。来春のセンバツ出場は絶望的となった。三塁ベンチで指揮する平田監督(左端)は試合後、無念を口にしている


 来年3月のセンバツ甲子園へ向けた貴重な資料となる秋季大会。横浜高は桐光学園高との神奈川大会準々決勝(9月22日)で敗退し(0対3)、センバツ出場は絶望的となった。

 横浜高・平田徹監督は敗因を2つ挙げている。

 相手左腕・安達壮汰(2年)をとらえ切れず、6安打完封負け。今春の県大会準決勝に続いての黒星(3対5)となった。苦手意識はあったのか? 指揮官は真っ向から否定した。

「相手どうのこうのではない。なかなか持っている力を発揮できない。もどかしさ、歯がゆさがある。いかに、本来の力を発揮させてやるのか……。すべて私の責任です」

 神奈川工高との4回戦も初回の1点のみで1対0の辛勝。結果的に2回からこの試合を含めて、16イニングゼロ行進と伝統の強打が封じ込められた。

「打力はこんなものではないんですが……」

 悔やまれる攻撃シーンを挙げるとすれば、初回の攻撃だろう。1回表、一死満塁の好機で「6−4−3」の併殺打。平田監督は「(安達は)立ち上がりは緊張しているような感じがした。先制点を取りたかった」と悔やんだ。

 先発・木下は6回に1失点したものの、粘りの投球。8回一死二、三塁で左腕・松本隆之介(2年)に託したが、痛恨の右前適時打を浴びてしまう。平田監督はこの場面も悔やむ。

「(四球で)歩かせる選択肢もあった。指示が徹底できなかった。はっきり歩かせるよりは、ストライクからボールになるスライダーを投げていたが、バットの届くところへいってしまった……。あそこではっきり『歩かせろ!』と……(言っておけば)。私の責任です」

 仮に四球で一死満塁としても、6回に先制タイムリーを放っていた桐光学園高の投打の大黒柱である四番・安達だっただけに、難しいケースではあった。さらに、この回のピンチを広げたのは2つの失策と捕逸が絡んでおり、流れを呼び戻すのは厳しかったとも言える。

 この回、追加点を許した2番手・松本は試合後、無念を口にしている。

「センバツ出場と、甲子園での春夏連覇を目指してきたので……。自分の実力不足です。春(の県大会)に向けて頑張りたい、と言いたいところですが、まだ(負けた)実感がない。気持ちを切り替えられないです……」

 ナインの思いを平田監督は代弁する。

「これが勝負の世界ですから。現実を受け止めて、次の目標へ向かっていくしかない」

 今春のセンバツでは153キロ左腕・及川雅貴(3年)を擁するも、初戦敗退。夏4連覇を目指した今夏は、県立校の相模原高に準々決勝で惜敗した。2015年秋から母校を率いる平田監督は、初めて夏の甲子園出場を逃した形になる。そして、今秋も県8強敗退。9月22日、あまりにも早い冬の到来――。来年4月には男女共学となる名門・横浜高、正念場の時である。

文=岡本朋祐 写真=佐藤明
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