捕手ながら、強力打線の中心として勝負強い打撃を発揮した森
今季、パ・リーグ連覇を果たした
西武。昨季はチーム打率、盗塁がトップで防御率、守備率が最下位での優勝だったが、今季もまったく同じ状況で、攻撃陣が牽引しての連覇だった。
127打点でタイトルを獲得し、打率.310、32本塁打で三番を打った
浅村栄斗がFAで
楽天に移籍。その穴をどう埋めるかがシーズン前の課題だった。しかし、終わってみれば、数字こそ落ちたもののまったく見劣らないほどの強力打線だった。
昨季、浅村と打点王を争った
山川穂高は四番でスタートし118打点。終盤に四番を務めた
中村剛也がリーグトップの125打点を記録。中村は六番56、七番6、八番18と六番以下で半分以上の80試合に出場しており、下位の打順でのこの打点は価値がある。
そして五番でスタートして後半は三番を任された
森友哉が105打点と、「100打点トリオ」が誕生した。100打点が3人以上は史上5度目、パ・リーグでは2003年のダイエー(4人)に次ぐ快挙。西武で100打点以上2人は、11年の中村116、
中島裕之(現
巨人、宏之)100と昨季の浅村127、山川124の2度しかなく、今季の100打点トリオは球団の歴史の中でも輝ける記録と言える。
また
外崎修汰も90打点を挙げており、90打点以上4人は01、03年のダイエーに次ぐリーグ記録(セ・リーグは10年に
阪神が5人)だ。
100打点トリオの中でも森はリーグトップの得点圏打率.411をマーク。中村もリーグ2位の.350とリーグ屈指の勝負強さを誇っている。チームの得点圏打率は昨年の.301には及ばないが.275を記録。他の5球団が2割6分前後なので群を抜いていて、本塁打、打点ともにトップだ。
森と中村は満塁時でも驚異の打率を残している。森は14打数8安打、2本塁打、30打点、打率.571。中村は32打数17安打、4本塁打、49打点、打率.531だ。中村は昨季まで通算16本の満塁本塁打を放っていたが、今季は自身の持つシーズン満塁本塁打4本に並び、ついに通算20本に到達した。
リーグで満塁時に20回以上打席に立っているのは、森、中村のほか、山川、楽天の
ウィーラー、
銀次の5人しかいない。それだけ満塁のチャンスを作り、ポイントゲッターにつなげているチームということが分かる。チームの満塁時の打率も3割を超えていてリーグトップ。一方、ライバルの
ソフトバンクの満塁時は1割台と低調だった。この辺が得点力に差が出たと言える。
文=永山智浩 写真=BBM