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ヤクルトの元ドラ1も講師役に 野球普及活動に必要な「元プロ野球選手」たち

 

ヤクルトのドラフト1位・川上


「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は元プロ野球選手が携わる少年野球の普及活動についてお話しさせていただきます。

 私が現在、支援企業である株式会社スポルアップと共に携わっている野球普及活動の一環として、公益財団法人・杉並区スポーツ振興財団が主催しているベースボール教室があり、区内の運動場で週に一度開催されています。以前も連載の中でお話ししましたが、この教室の面白い点は野球未経験の子どもたちが入りやすいことです。(1)4〜6歳の未就学児、(2)小学1〜3年生の野球未経験者、(3)小学生で経験者の3クラスに分かれているため、実力が極端に離れていない子どもたちが野球を純粋に楽しめます。S&Cコーチである私が監修役にまわり、うまくなることより身体を動かし楽しんでもらうことに重点を置いているので、野球の上達に重点を置く「野球塾」とは異なり、野球をしたことがない子も参加しやすくなっています。

 9月末からスタートした秋季ベースボール教室で元ヤクルトの川上竜平君をメーン講師役として招き、子どもたちに教えてもらいました。野球の知らない子でも、元プロ野球選手の動きを見れば、見る目は変わります。川上君の言葉に真剣に耳を傾け、キャッチボールなど少しでもうまくなりたいと、子どもたちの動きに向上心が芽生えたように感じました。私は指導のうまい、下手ではなく、プロ野球を経験した選手だからこそ子どもたちに伝えられる要素があると思います。実際に川上君のキャッチボールの指導でも、「動きの中で相手に捕りやすい球を投げるんだよ」と具体的な体の動かし方を説明した上で分かりやすく指導しているのを見て、こちらも勉強させられることが多かったです。

 川上君は光星学院で高校通算27本塁打とスラッガーとして注目され、ヤクルトに2012年ドラフト1位で入団しました。ただプロ5年間では一軍出場がなく、16年限りで現役引退。悔しい思い、大きな挫折を味わったと思います。今は野球とは違う世界で働いていますが、セカンドキャリアを積む過程の中でもプロ野球選手OBとしての「野球というスポーツの楽しさを伝え続ける」という使命は持ち続けてほしいという思いがあります。川上君に限らず、元プロ野球選手で現役引退した後に野球と接点がなくなった人は多くいますが、プロ野球選手としての発信力、影響力は我々ではできない大きな役目なのではないでしょうか。

 今は昔のように子どもたちがみんな野球をする時代ではありません。サッカー、バスケット、ラグビー、テニスなどさまざまなスポーツが選択肢にある中、野球も競技人口を増やすために裾野を広げる活動が必要だと感じます。野球をしたことがない子どもたちに、まず体験してもらう。その一環として「ベースボール教室」は有意義だと思うし、川上君のような元プロ野球選手がどんどん携わってほしい。私も元プロ野球界のS&Cコーチとして、彼らとできる限りのコラボやサポートをしていきたいと考えています。

文&写真=インプレッション・平尾類
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