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週べ60周年記念

阪神黄金バッテリーがONを追放?/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

土下座オジサン、またも乱入?


表紙は巨人長嶋茂雄から空振りを奪った阪神江夏豊田淵幸一バッテリー


 今回は『1969年6月2日号』。定価は60円。
 
 これまで表紙と内容がリンクしないことがほとんどだったが、巻頭記事「主役交代 ONを追放したトラ・トラ」では、真っ先にこう書いてある。

 まず、もう一度本誌の表紙を見ていただきたい。大げさに言えば、球界の主役交代を告げるまことにシンボリックな名場面ではないか。
 鋭気さっそう、江夏豊の若きエネルギーを乗せた快速球が唸りを生じて、新しい田淵幸一のミットに収まったとき、球界に君臨する超大主役、長嶋茂雄のバットは空を切ったのである。

 5月10日、甲子園球場での阪神─巨人戦の一幕。書き手の興奮が伝わる。なお、次打者の王貞治もしっかり三振に斬って取った。
 8回に田淵が巨人・堀内恒夫からホームランを打って阪神が勝利した試合だ(前回も紹介した試合をさらに深く検証した形)。

 試合を観戦した鈴木龍二会長も興奮した様子で語る。
「甲子園でもON砲の人気は絶大だったよ。少なくとも昨年まではON以上に拍手が鳴る選手はいなかったはず。ところがどうだい。あの田淵、江夏への大歓声は、最高の拍手じゃないか。それにファンの球場への入り方で違っている。昨年までは巨人のベンチ側から埋まっていたのに、ことしは一塁側の阪神側からどんどん埋まっているじゃないか。
 これは新しいスター誕生のなによりの証拠ですよ」

 甲子園の観客動員も絶好調。この3連戦は、1戦目が5万2000人、2戦目が4万8000人、3戦目が5万4000人で総数15万4000人となった。東映が後楽園使用試合で1カ月で14万2000人というから(たぶん13試合)、これを超えたことになる。

 3日間で売店収入は2000万、入場料、電車運賃などで5500万円。トータル7550万円が入ったという。

 前回も触れたように、田淵のホームランの後、グラウンドに乱入し、土下座したオジサンがいたが、この人、どうやったのか、試合後、ロッカールームの記者会見にもまぎれ込むと、いきなりシャツを脱いで「田淵さん、先ほどはどうも。記念のため、これにサインをください」と言った。
 田淵も笑顔のままサインをしたという。

 このオジサン、その後、記者たちに囲まれたが、自分の名前も住所も言わなかった。
 ただ、部屋を出る際、
「このシャツは、いまに高く売れるぜ!」
 とニヤリ。これには記者たちも、「やっぱり大阪、商人の街だな」と笑った。

 きょうは振替休日ということを忘れてました。申し訳ありませんが、今後、祝日は休ませてもらうつもりです。
 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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