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八百長がなければ巨人6連覇は無理? 青田昇の危なすぎる爆弾発言/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

金田正一は神宮で引退会見


表紙は阪神村山実監督



 今回は『1969年12月15日号』。定価は70円。
 
 11月30日、神宮球場の貴賓室で巨人金田正一が引退を発表した。
「寂しさはない。すがすがしい気持ちで引退できる」と語り、涙はなかったようだ。
 この日はファン感謝デーの予定が雨で中止となっていた。なぜ神宮で会見をやったのかは書いてなかったが、自身の最後を伝える場は、ここしかないと思ったのかもしれない(後楽園が別イベントで使用され、ファン感が神宮だっただけだったような気もするが)。

 一人のスターが去れば、また新たなるスターが生まれる……。
 甲子園のヒーロー、三沢高・太田幸司だ。ただし、ドラフトでは相思相愛と言われた阪神ではなく、のち「何の会社か知らなかった」と明かす近鉄に指名された。
 太田自身は「別にプロで野球をやりたいという思いはない。大学で野球が終わっても構いません」と話し、三沢の野球部に指導に来てくれていた日大進学を希望していたのだが、周りが近鉄入りか否か、あるいは進学でも早稲田と盛り上がっていた。

 指名した近鉄側も驚いていた。何しろ、ドラフト以来、女性ファンからの電話が殺到。「太田さんはなぜ近鉄に入るんですか」はまだマシ。「近鉄はプロ野球なんですか」など、連日多数の問い合わせがあった。
 担当者は、
「えらいこってすわ。こんなこと球団が始まって以来ですからね。ファンの電話すら滅多になかったのに、女学生の声がする電話なんて、こっちがこそばゆかった」
 お偉いさんも興奮気味。男子用トイレしかなかった日生球場に「女子トイレをつくらなきゃ」と盛り上がっていた。

 評論家・青田昇千葉茂の対談があったが、青田という人はブラックジョークが好き、というか、はっきり言えば、危ない。
 球界を揺るがせた八百長問題。なぜか「読売」が熱心に追い、大阪で野球賭博の胴元2人が逮捕された際、30数人の選手の名前が挙がったという記事も出た。これは八百長をしたというわけではなく、野球賭博の客という意味だ。

 ただ、球界は西鉄・永易将之をある意味、スケープゴートにし、その追放ですべて終結させようとしていた。
 そんな状況の中で、青田は、深読みするなら、いくらでもできそうな話をしている。

「今年八百問題が出たけれど、来年は西鉄もしなくなるだろうし、野球界の秩序はずいぶん変わってくる。ここでこんなこというたら具合悪いけれども、パ・リーグの来年の優勝候補は東京と近鉄だと思う。今年阪急が優勝したのは八百長をやらなかったからだとしたら、本当に真剣勝負になった場合には変わってくるだろう」

 少し注釈が必要かもしれない。青田は「八百長で勝つことはないが、負けることはできる」を前提で話している。要は近鉄、東京(ロッテ)は怪しかった、ということだろう。
 セでは巨人以外は全部怪しいといい。「向こうがマジメにきたら巨人もやられるぞ(笑)」とも。
 さらに、
「(八百長試合は)月に多くて4回やろうな。大体24試合から25試合や。そのうち半分勝てて13ゲーム勝てたことになる」
 こうも言う。
「ワシが暴力団を知っとるから監督にすると危ないと言ったひとがあるけれど、それは逆なんだ。手口を知っているから目が届くのでね。向こうもよう頼まんからな」
 いわゆる黒い交際も、まったく隠さない。
 
 中日江藤慎一の移籍問題も佳境。11月17日に巨人のスカウト部長が中日に「江藤を放出するなら、うちがほしい」と申し込んだ。
 当の江藤は一時期、「球団が俺をトレードに出すなら絶対引退する」と言っていたが、最近は「別の事業(自動車会社の経営)もあるから、簡単に離れるわけにはいかない」と言っていた。
 
 そうそう。退団宣言をした南海・杉浦忠は撤回し、現役続行となった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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