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「1986年のバース」を記録で読む。対巨人の苦手克服とレフト方向へのホームラン増/セ・パ誕生70年記念「よみがえる1980年代のプロ野球」

 

対巨人は打率.210から.366に


圧巻の勢いで打ちまくったバース



 セ・パ誕生70年記念「よみがえる1980年代のプロ野球」第2弾として、1986年編が12月27日に発売される(第1弾は1985年)。
 西武清原和博が入団し、大フィーバーとなった年だ。

 ここでは、前日のロッテ落合博満に続き、同じく2年連続三冠王に輝いた阪神・バースの記事を抜粋し、紹介する。

 1985年、打率.350、54本塁打、134打点をマークし三冠王となったバースだが、巨人戦は打率.210、4本塁打と苦しんだ。特に相手の本拠地後楽園球場では、打率.152のホームラン0本と完全に封じ込められている。
 バースと真っ向勝負を繰り広げた巨人のエース・江川卓との対戦成績は打率.167、本塁打0だった。

 しかし86年のバースはまったく別人だった。巨人戦に.366と打ちまくり、後楽園でも.392。対江川は、なんと.500、2本塁打となり、王貞治(巨人。当時監督)と並ぶ7試合連続弾も江川から奪った。

 ただし、巨人だけに強かったわけではない。
 球団別打率で巨人より低かったのは2チーム。うち中日が.361、広島が.303で、1位の大洋に至っては.533である。

浜風を使う本塁打量産


1980年代のプロ野球Part.2の表紙


 86年バースの最大の特徴は左方向へのホームランだ。もともとレフトへのホームランが多いタイプではあったが、86年は、ライト方向が85年の27本から15本に減っているのに対し、レフト方向は85年の18本から24本に増えている。

 ロッテ・落合博満もそうだったが、この年のバースも序盤戦は苦しみ、4月は打率こそ.323だったが、ホームランがなかなか増えず、3本だけだった。
 ここから、同じ左打者の掛布雅之を見て学んだという、甲子園の浜風を使い、レフト方向に飛ばす技術を磨き直したのだろう。

 甲子園でのホームランの打球方向を見てみると、最初のホームラン2本はライト方向だったが、残る23本中レフト方向はなんと14本となっている。
 まさに浜風がもたらしたホームラン王だった。

 最終的には、打率.389、47本塁打、109打点で2年連続三冠王。打率.389は、1970年東映・張本勲の.383を抜き史上最高打率で、現在もまだ抜かれていない。
 打点の大幅ダウンは、彼の問題だけではなく、猛虎打線全体が湿っていたこともあるだろう。

写真=BBM
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