沢村賞って、これでいいのかな
昨日、
金田正一さんのお別れ会に出席した。故人の人徳だろう。盛大で温かい会だった。
説明するまでもないが、金田さんは国鉄、巨人で通算400勝という、今後、絶対に抜けない大記録をつくった左腕投手だ。
だいぶ前の話だが、若手時代の
内海哲也(巨人─
西武)が「カネムラさん」と名前を間違えたことがあった(何となくは知っていたんだな)。
今の選手にしたら、もう歴史上の人物みたいなものかもしれないけど、だからこそ、少なくてもプロの世界に足を踏み入れた選手、特に投手なら、自分が目指す世界の一番トップの記録を持つ人の名前は覚えておくべきだと思う。
それに走ることの重要性だったり、食事、体のケアの重要性などは、すべて金田さんから始まって今につながっていると言っていい。
机上の理論としてではなく、自分の体と経験で、あの人は投手には何が必要か分かっていたんだと思う。
川上さんが「打撃の神様」なら金田さんは「投手の神様」だね。
俺が
広島で金田さんと同じ背番号「34」をもらったとき、はっきり言われたわけではないけど、金田さんのように左腕エースになってほしい、という期待を込めたものだと思い、身が引き締まる思いがしたことを覚えている。
以前も書いたが、俺は広島で金田さんの甥の
金石昭人や弟の金田留弘さんと仲がよかったこともあり、一緒にゴルフに行ったり、食事をしたことがある。
豪快だけど、すごく気配りしてくれる人だった。
今、球界で名前がついた賞は正力賞と沢村賞だけだけど、俺は左投手として金田さんの名前のついた賞がないのはおかしいと思う。金田賞がピンと来ないなら正一賞? いやいや、ゴールデン・サウスポー賞とか、なんでもいいけど、400勝投手・金田正一を何らかの形でつないでほしい。
だって2位の
米田哲也さん(阪急ほか)の350勝と50勝差だよ。400勝がいかにとんでもない記録かは、プロで1試合でも登板した人は、みんな分かると思う。
もう一つ、賞の話が出たからついでに書いておくが、俺は沢村賞について疑問がある。
だって選考基準が10完投でしょ。今の継投野球で10完投は絶対無理だよ。
あくまで参考基準ということだけど、毎年のように選考委員会が「今の投手はだらしない」的な結論に落ち着くことも納得できないんだ。
野球が変わっている以上、いい投手の基準だって、当然、変わっているからね。
ただ、じゃあ、基準を変えたらいいじゃないか、というのもまた違う気がする。
俺は、沢村賞は沢村賞でいいんじゃないかと思う。それで今の基準のまま、それに合う投手が出たら渡せばいいし、いなかったら対象なしでいいんじゃないかな。
いずれにせよ、昔はよかった、なんて前置きは不要でね。
そうだ。少し話が変わるけど、昨年、体調を崩していた
山本浩二さんが、だいぶ元気になったらしい。
このコラムを読んでくれているかどうかは分からないけど、読んでくれていると思って伝えます。
「浩二さん、俺たち後輩は、みんな元気になった浩二さんに会えるのを楽しみにしてます」